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音と健康 ― f/1ゆらぎと音楽療法

Bynikkansan

4月 16, 2019

私たちの周囲は、さまざまな音で溢れています。全く音のない場所は人工的に作られた無音室以外には存在しないとされています。人が全く音のない無音質に入ると、短時間で錯乱状態になってしまうという説もあります。打ち寄せる波、川のせせらぎ、ウクレレ、救急車のサイレン、工事の音など、音の種類は多岐にわたりますが、私たちはなぜ、音によって心地よいと感じたり不快になったりするのでしょうか。今回の健康特集では、音や音楽が私たちの心身に及ぼす影響や健康効果をご紹介したいと思います。心身によいと言われる音の中にはYou Tubeなどで聴けるものも多くあります。音楽や音を日常に取り入れ、より健康な毎日を送ってみてはいかがでしょうか。

 

心地のよい音とは

1/fゆらぎ音

心地よいと感じる音の多くには「1/fゆらぎ」が入っています。1/fゆらぎ音とは、スペクトル密度(音波の密度)が周波数(振動の数) f に反比例するゆらぎのこと。f 0 よりも大きい数値で、範囲は有限です。わかりやすく言うと、不規則に聞こえるけれどもなんとなく調和がある音のことを言います。1/fゆらぎは、海の波、川のせせらぎ、クラシック音楽、般若心経など、さまざまなものに見られます。1/fゆらぎは、視覚で感じる動きにもみられ、蛍が光る間隔、焚き火、ロウソクの炎などにも存在します。

 

 

生体リズムは1/fゆらぎ

人間(生体)の神経細胞(ニューロン)が発信する電気信号は、その発信感覚に1/fゆらぎがあります。そのほか、脈拍や心音、目の動きなど、人の身体は基本的に1/fゆらぎのリズムを取っており、聴覚や視覚で外部の1/fゆらぎを受け取ると、生体リズムが共鳴することで自律神経が整い、元気になったり、情緒が安定したりすると考えられています。

 

 

脳波にα波が現れる

波の音など、自然界にある1/fゆらぎ音を聴くと、脳の電気信号、脳波の周波数にα波が多くなります。周波数813㌹のα波は、人がリラックスしている時に多く見られます。ヒーリング・ミュージックを聴くと心地よくなるのは、1/fゆらぎ音が取り入れられているためです。リラックスしたいのにできないというときは、よYouTubeで川のせせらぎ音を流しながらロウソクの炎を眺めるなどして、α波を増やしてみてはいかがでしょうか。

 

 

不快な音とは

人間が耳の鼓膜を振動させ、音として聞き取れる範囲「可聴域」は、大体2020,000㌹と言われています。人間が不快に感じる音とは、この可聴域の中間領域にある音。最も強い不快感を呼びおこすのは、2,0004,000㌹の周波数です。この周波数帯の音は、外耳道の中で増幅されやすいために不快感を感じると言われています。この周波数を持つ不快音として、人の叫び声、咀嚼音、サイレン、黒板を爪でひっかく音、発泡スチロールが擦れる音、太いマーカーで何かを書くときの「キュッキュッ」という音などがあります。

 

 

 

 

 

◊♦◊ <コラム> パワーストーンにも1/fゆらぎがある? ◊♦◊

 

いわゆるパワーストーンとして、天然の鉱石を手にしたり眺めていると気持ちが安らぐという人がいます。これは、鉱石の結晶を構成する最小単位、原子の運動に1/fゆらぎが存在するためと考えられています。この運動は「格子振動」と呼ばれます。パワーストーン好きの人々は、この超微弱な格子振動を感じ取り、石の「癒し」の力を受け取っているのかもしれません。この1/fゆらぎの格子振動は、鉱石だけでなく、氷や塩の結晶にも見られます。