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記憶の雑学

Bynikkansan

10月 15, 2019

効率のよい記憶の仕方 (記憶に適した時間や色をご紹介)

◉記憶に適した時間    

(起床後、空腹時、寝る前がベスト)  

何か暗記したいことがあれば、記憶に適しているとされる起床後、空腹時、就寝前に勉強してみるとよいかもしれません。  起床後は血糖値が低い時間帯のため、まずは1番大事な脳を働かせようと、体内のブドウ糖が脳集まりやすく、集中力や記憶力を発揮しやすいと言われています。  

 

また、空腹になると「グレリン」というホルモンが分泌されますが、それが脳の記憶を司る海馬の活動を活発にすると考えられています。さらに、眠ることで記憶が定着すると言われているため、寝る直前に覚えたいこと暗記するとに記憶に残りやすいのだとか。夜寝る前はもちろん、何かを暗記したあとに昼寝をすると、昼寝をしないときに比べ、約5倍の記憶が定着するという説もあります。一度、試してみてはいかがでしょうか?

 

 

◉記憶力を高める色  

(青色のペンを使ってみよう)  

色彩心理学では、記憶力の向上が期待される色は青と言われています。通常、ノートを書くときは黒、大事な部分は赤などで印をつけたり、黄色の蛍光ペンでラインを引いたりしますが、これらをを全て青色に変えて勉強してみるとよいかもしれません。

 

 

◉繰り返し覚えることが大切  

(人の記憶は穴の空いたバケツ)  

ドイツの心理学者ヘルマン・エビングハウス(1850〜1909)は、人間が学習した情報が指数関数的に失われることを示す「エビングハウスの忘却曲線」を提唱しました(右図)。

 

1番左の曲線を見ると、急激な記憶の減少は学習後最初の20分間で起こり、その後も1時間までは忘れる度合いが著しく、1日後になだらかになっています。人の短期記憶は底に小さな穴の空いたバケツのようなものと言われます。知識という水を注ぎ続けても、底の穴から少しずつ下に落ちていくのです。

 

知識を保ち続けるには、注ぎ続けることが大切です。英単語など、「これはぜひ覚えておきたい!」ということがあれば、1回で覚えようとせずに、何度も繰り返し書いたり、声に出したりしてみましょう。何度も注いでいるうちに長期記憶に変化し、忘れにくくなります

 

 

◉数字を覚えるコツ  

(円周率10万ケタを暗記した人が使った記憶術とは?)  

皆さんが日常で使う「暗記できていたら楽な番号」は何でしょうか?ソーシャル・セキュリティ・ナンバー、クレジットカードの番号、口座番号など、その都度スマホのメモなどを見ている方も多いのではないかと思います。  

 

意味のない数字の羅列を覚えるのはなかなか難しいものですが、先述の「マジカルナンバー7±」によると、人間は7ケタ前後の数字を短期的に記憶できるとされています。そのため、円周率を「3.14159」の7ケタ前後まで覚えている人が多いのです。  

 

しかし、2006年、なんと10万ケタの円周率を暗記し、世界記録を打ち立てた日本人がいます。日立製作所のエンジニアだった原口證さんは、数字をかな文字に置き換えて語呂合わせにし「武士が旅をする物語」を独自に作って10万桁の数字を暗記したのだそう。  

 

原口さんは、著書『ぶっちぎり世界記録保持者の記憶術』の中で、覚えることを苦行とせず、楽し見ながら覚えることが大事と語っています。皆さんも、脳トレを兼ねて暗記したい番号を語呂合わせで覚えてみてはいかがでしょうか? 

 

 

【参考文献】

・原口證(2006)『ぶっちぎり世界記録保持者の記憶術 円周率10万桁への挑戦』日刊工業新聞 【参考URL】(2019年10月9日閲覧) ・https://www.wired.co.uk (2015). “There is probably no such thing as a ‘male’ and ‘female’ brain” from https://www.wired.co.uk/article/male-female-brain-difference-not-significant ・The Brain from Top to Bottom https://thebrain.mcgill.ca/index.php ・心理学用語集 サイコタム https://psychoterm.jp ・Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/ヘルマン・エビングハウス ・画像出典 Public Domain, eBay, Wikipedia, Pixabay 他 

 

 

(日刊サン 2019.10.15)