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睡眠の質を上げて心身共に健康に ”快眠TIPS”

Bynikkansan

8月 21, 2018

 

 

睡眠とは?

『大辞泉』によると、睡眠とは「周期的に繰り返す、意識を喪失する生理的な状態」と説明されています。体の動きが止まり、外的刺激に対する反応が低下して意識も失われているものの、物音や光などの刺激で目覚められる状態のことです。

 

眠くなるメカニズム

一般に、眠気は24時間周期で現れます。これは体内時計の影響に加え、眠気が、蓄積した疲労を解消するため、起き続けた時間に比例して強くなることが原因です。よく体内時計は腕時計、覚醒時間に比例して強くなる眠気は砂時計に例えられますが、眠気や睡眠はこの2つの時計の影響下にあります。

 

睡眠物質の1つ、アデノシン

アデノシンとは、身体を動かすエネルギー源「アデノシン三リン酸(ATP)」が使われた後に生まれる代謝物質です。身体を動かす時に使われた燃料の「燃えかす」と考えると分かりやすいでしょう。燃えかすであるアデノシンは、刺激を直接受ける「受容細胞」を抑制し、脳を強く覚醒させる神経伝達物質の1つ、ヒスタミンの放出を抑える働きがあります。これが、人間が眠くなる原因の1つと考えられています。アデノシンは、起きている最中に脳基底部(脳の後部の底)あたりに溜まり続け、眠ると減るため、睡眠後に再び覚醒して活動をすることができるようになるとされています。

 

 

レム睡眠、ノンレム睡眠とは?

「レム睡眠」とは、睡眠中に「レム」と呼ばれる急速眼球運動が生じている状態のことです。レム睡眠時は、身体は眠っていますが、脳は活動しているため、夢を見ることがあります。また、大人の睡眠時間中、約20〜25%を占めると考えられています。  「ノンレム睡眠」はレム睡眠以外の睡眠状態で、ステージIからステージIVの4段階があり、ステージⅣは最も眠りの深い状態を表します。睡眠時間の半分以上は、レム睡眠のステージⅠとⅡが占めます。睡眠中は、レム睡眠とノンレム睡眠を90~110分の周期で繰り返します。

 

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カフェインが眠気覚ましになる理由

カフェインは、アデノシン(睡眠物質)がヒスタミン(覚醒物質)の放出を抑えようとする時、それを阻害する働きがあります。その結果、心拍数や血圧が上がって覚醒し、一時的に疲労感が解消します。カフェインは、体内に約6時間半前残り続けます。

 

睡眠中、身体に起こっていること

睡眠は、人間の身体や脳の休息に欠かせません。睡眠中は、身体中の細胞が修復され、脳内では高次脳機能としての記憶が再構成されています。また、睡眠中は2〜3時間感覚で下垂体前葉から成長ホルモンが分泌されるため、子供の成長や、大人の怪我などの治癒、肌の新陳代謝などが促進されます。

 

Häggström, Mikael (2014). “Medical gallery of Mikael Häggström 2014”. WikiJournal of Medicine 1 (2). DOI:10.15347/wjm/2014.008. ISSN 2002-4436. Public Domain

 

 

 

睡眠不足が引き起こす不調

「睡眠負債」という言葉をご存知でしょうか。これは、毎日の睡眠不足が負債のように身体に溜まってしまう状態のことです。睡眠負債が溜まると、日中のパフォーマンスが悪くなるのはもちろん、免疫力の向上低下や、生活習慣病やアルツハイマー型認知症にかかるリスクが高まるなどの悪影響が出てきます。

 

4つのタイプの不眠症

不眠症は、下記の4つのタイプに分けられています。

 

入眠障害

寝付きが悪く、布団に入って寝つくまでに 30分~1時間以上かかる。不安やストレスが強いときに起こりやすいとされています。

中途覚醒

眠りが浅く、夜中に何度も目が覚めてしまう。また、1度起きた後はなかなか寝つけない。日本人に最も多い不眠のタイプといわれています。

早朝覚醒

朝、起床予定時間よりも2時間以上前に目が覚めてしまう。その後は眠れなくなる。 高齢者に多いタイプです。

熟眠障害

十分な睡眠時間をとったのに、よく眠れたという感じが得られない。このタイプでは、多くの人が他のタイプの不眠症を伴っています。

 

doctor.webmd.comで「HawaiiInsomania」と入力して検索すると、専門医のリストが出てきます。

 

質のよい眠りとは?

睡眠に入ると、最初にノンレム睡眠状態になります。この最初のノンレム睡眠は、1回の睡眠の中で最も深い眠りと言われています。睡眠の質を上げるには、最初の約90分間のノンレム睡眠をより深くすることがポイント。最初に深く眠ることができれば、その後の睡眠リズムが整い、翌朝スッキリと目覚めることができます。

 

質のよい眠りを得るために

《日中》・・・就寝6時間半前からカフェインを摂らない カフェインは、体内に入ってから30分後に血中でピークを迎え、その後6時間にわたって、約半分が残ります。そのため、就寝時間の6時間半前からカフェインを摂らないようにするとよいでしょう。

 

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セロトニンとは

50種類以上の神経伝達物質の中で、特に重要な役割を果たす物質の1つです。ノルアドレナリン、ドーパミンと共に「3大神経伝達物質」と呼ばれています。ノルアドレナリンは興奮、怒りなどの感情を、ドーパミンは意欲、好奇心などの感情を司ります。セロトニンは、これらの過剰分泌を抑え、精神を安定させる役割を担っています。

 

《食事》

神経伝達物質の1つ、セロトニンを作るのに必要な3つの栄養素、炭水化物、たんぱく質、ビタミンB6を摂りましょう。セロトニンは、夜になると体内時計を調節するメラトニンに変化します(メラトニンについては後述の「快眠に役立つサプリメント」を参照)。特に、たんぱく質に含まれるアミノ酸の一種、トリプトファンはセロトニンの合成と分泌を助けるのに重要な成分です。トリプトファンが含まれる食材には、ヨーグルト、チーズなどの乳製品、納豆、豆腐、味噌などの大豆製品、米、ごま、卵、バナナなどがあります。また、さつまいもにはビタミンB6が豊富に含まれ、イワシにはトリプトファンとB6の両方が含まれています。3つ全ての栄養素を摂れるのはバナナ。1本のバナナで、1日に必要な分のセロトニンを補えると言われています。

 

快眠を助けるバナナ

《就寝前》

●体温・・・就寝予定時間の約90分前に運動や入浴をして体温を上げましょう。眠りに就く時間に体温が低下し、深い眠りに入りやすくなります。

●温度と湿度・・・人間が最もよく眠れる温度は22〜25℃、湿度は50%前後と言われています。

●音・・・騒音レベルは図書館くらいの静けさである40デシベルよりも下が理想的です。カーテンを厚手のものするだけでも騒音が遮られて静かになります。眠る前、自然の音や、スパで流れるようなゆったりした音楽を聴くのもよいでしょう。

●光・・・就寝予定時間の30分〜2時間前から照明を暗めにし、メラトニンの分泌を促しましょう。蛍光灯などの白い光ではなく、電球などのオレンジ色の光にするとよりよいでしょう。携帯やパソコンの画面はナイトモードに。就寝時の明るさは、うっすらと何かが見えるくらいの30ルクス以下が理想的です。

●香り・・・眠る前は、心身をリラックスさせるラベンダーやカモミールのアロマオイル、ハーブティーなどを活用しましょう。 *ラベンダーの成分と効能* 精油の主成分「酢酸リナリル」には、鎮痛、安眠、鎮静などの効果があると言われています。 *カモミールの成分と効能* 香りの元となるフラボノイド系のポリフェノール「アピゲニン」が自律神経のバランスを整え、ドーパミンの分泌を促進するため、安眠やリラックス効果が期待できます。

 

快適な寝室も 快眠の鍵

 

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就寝前に心配事をノートに書き出してみる

睡眠薬学の専門家で『Sleep Soundly Every Night, Feel Fantastic Every Day』の著者、ロバート・S・ローゼンバーグは、物事や心配事が気になって眠れない時、それをノートに書き出す「建設的な心配」を勧めています。気になっていることや心配事への対処法を ノートに書くと、考えがまとまって安心感を生み出し、快眠を促すのだそうです。

 

《起床後》 

毎日の起床時間をできるだけ同じにし、起きたらすぐに日光を浴びるようにしましょう。人の体内時計は、強い日光を浴びてから約14時間後に眠気を感じる仕組みになっています。 日光を浴びた後、1時間以内に朝食をとると体内時計のサイクルがより安定します。

 

快眠に役立つサプリメント

メラトニン

【摂取のタイミングと目安】就寝の30分程前に10〜20mg メラトニンは、人間の体内時計を調節するホルモンです。昼夜のサイクルに反応し、暗くなると量が増えて眠くなります。メラトニンは、主に脳の中央にある「松果体」という豆粒ほどの大きさの器官から分泌されます。松果体の他に網膜や消化管からも分泌されます。メラトニンの原料となるトリプトファンに数種類の酵素が作用してセロトニンが作られます。セロトニンにまた別の酵素が作用してメラトニンが作られます。こうしてできたメラトニンは松果体から分泌され、血管から全身に運ばれます。そして肝臓で代謝され、脳脊髄液、胆汁、唾液などの中に入ります。起床後、日光が目に入ると分泌量が低くなり、覚醒します。

 

GABA

【摂取のタイミングと目安】ストレスを感じて眠れない時に200〜500mg GABAはγ-アミノ酪酸(Gamma Amino Butyric Acid)というアミノ酸の一種です。人間の脳、脊髄などの中枢神経に多く存在し、抑制性の神経伝達物質として、気持ちを落ち着かせる作用があります。GABAは人間の体内で十分な量が作られますが、強いストレスや緊張下では、その状態を緩和するために大量に使われるため、不足がちになります。不足すると興奮性の神経伝達物質が過剰に分泌され、リラックスできず、緊張する状態になり、不眠の原因になります。

 

グリシン

【摂取のタイミングと目安】就寝の30分程前に450〜3000mg 就寝時間が近くなると、私たちの身体は深部体温(脳や内臓の体温)を下げるため、手足の末端から体温を放熱させようとします。グリシンは、この時に血管を拡張させて放熱を促し、深部体温を効果的に下げるという働きがあります。深い眠りに到達するまでの時間が短くなるため、ノンレム睡眠とレム睡眠のサイクルを整え、深い睡眠状態であるノンレム睡眠の出現時間を増やすことが期待されます。

 

起床後の日光浴で体内時計を調節

 

最適な睡眠時間とは?

 

適切な睡眠時間は人それぞれですが、以下に挙げた全米睡眠財団による年齢別の推奨睡眠時間(2015年)を目安にするとよいかもしれません。

 

昼寝のすすめ

短時間(30分程度)の昼寝の習慣は、私たちの心身によい効果をもたらすと言われています。昼寝が奨励されているNASAが宇宙飛行士を対象に行った実験では、25分間の昼寝をした後で、判断力が35%、用心深さが16%上がったということです。短い昼寝をすると脳の一部が休みに入り、体を休めると筋肉が回復するように、脳の機能が回復します。眠らずに、リラックスして目を閉じるだけでも回復すると言われています。効果的な昼寝の時間は午後1〜3時の間。それ以上遅くなると、夜に眠れなくなることがあります。また、1回の昼寝の長さは15〜30分程度が最適と言われ、それ以上長くなると、深い睡眠に入ってしまって寝起きが悪くなり、逆に疲労になる「睡眠慣性」と呼ばれる状態になることがあります。

 

昼寝がもたらす主な効果

 

 

1.仕事の効率、自己評価、想像力などを上げる。

2.習慣的に昼寝をする人は、それ以外の人と比べて アルツハイマー病にかかるリスクが低下する。

3.昼寝後は血圧が下がるため、生活習慣病予防も 期待される。

 

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いろいろな「眠り」の表現

*就眠(しゅうみん)眠りにつくこと。眠っていること。

*睡臥(すいが)横になって眠ること。

*熟眠(じゅくみん)ぐっすり眠ること。

*嗜眠(しみん)重病のときなど、常に睡眠状態であること。

*夢寐(むび)眠って夢を見ること。

 

(日刊サン 2018.08.21)