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楽しい食生活と 魅力的な笑顔をキープ!歯の健康と豆知識

Bynikkansan

1月 8, 2019

親知らず

口の一番奥に生えてくる「親知らず」は、前歯から数えて8番目にある歯で、智歯(ちし)、知恵歯(ちえば)、第3大臼歯とも呼ばれます。一般に10代後半から20代前半にかけて生えてきますが、全ての人に上下左右の4本が生えてくるわけではありません。また、4人に1人は親知らずが生えてきません。  

 

抜歯するかしないかで迷っている方や、歯医者さんに抜歯を勧められている方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで、次に抜歯が必要な場合と、そうでない場合についてまとめてみました。

 

 

抜歯が必要な場合  

抜歯が必要なのは、親知らずが横や斜めに生えている場合です。歯ブラシが入りにくく磨きにくいため、虫歯や歯肉炎になりやすくなります。最悪の場合、親知らずから入った菌が心臓付近まで到し、死亡することも。年齢を重ねると顎骨と歯根が癒着して抜歯が難しくなることがあるため、なるべく若いうちの抜歯が推奨されています。  

 

抜歯は一般の歯科ではなく、口腔外科で行われることが多いです。上あごよりも、あごの神経が近い下あごの方が難しいとされています。最も難しいのは下あごで横向きに生えている親知らず。この場合の抜歯は、歯ぐきを切開して顎骨を少し削り、表面に出ている歯を割って取り出した後、埋まった部分の歯を抜き取る、という流れで行われます。下あごの骨に歯全体が埋まっていることもありますが、これは「埋伏智歯(まいふくちし)」と呼ばれます。また、1回で3、4本の親知らずを抜歯する場合、全身麻酔を施されることもあります。

 

抜歯が不要な場合  

抜歯が不要なのは、親知らずが普通の歯と同じように生えていて、上下が噛み合っている場合です。入れ歯やブリッジの支台として使ったり、奥歯を失くした時に代用歯として移植するなど、有効に使える場合もあります。

 

斜めに生える親知らずは人間の退化現象  

古代の人間は、親知らずが正常に生えていました。ホモ・エレクトス(50万年前)やネアンデルタール人(40万年前〜2万数千年前)の時代までは正しく生えていたと言われます。古代では、煮たり焼いたりといった調理技術が発達しておらず、木の実や生肉など、硬いものをそのままかじって食べていました。硬いものを噛み砕くために顎が大きく発達しており、親知らずが正常に生えるスペースがあったのです。

 

時代が下るにつれ、調理技術が発達して柔らかいものを食べるようになったり、栄養状態が改善されたりしたため、あごが小さく退化していきました。その結果、親知らずの生えるスペースが狭くなり、横や斜めに生えてくるようになったのです。親知らずが正しく生え揃う確率は、縄文時代で約80%、鎌倉時代で約40%、現代で約30%と徐々に低くなっています。

 

 

歯のトリビア⑤
鳥やアリクイ、カメなど、歯が全くない動物もいます。

 

 

コラム 親知らずのお話

10代後半から生えてくる「親知らず」の名前は、乳歯と違い「親が子どもにこの歯が生えてきたことを知ることはない」ということが由来といわれます。寿命が短かった昔は「親知らずが生えてくる頃は親が亡くなる頃」ということでこの名がついたという説も。  

 

親知らずの英訳は「wisdom tooth」ですが、これには「物事の分別がつく年頃に生えてくる歯」という意味があります。韓国語では、恋をする頃に生えてくる歯ということで、「恋の歯(サランニ・사랑니)」と呼ばれます。

 

 

ホワイトニング

 

アメリカでは、白く輝く歯は健康的な魅力の1つとされています。最近は日本でもホワイトニングをする人が多くなっていますが、読者の皆さまの中にも、既にホワイトニングをしている方や興味のある方などがいらっしゃると思います。  

 

ここでは、自宅でできるホワイトニングや歯の黄ばみを避ける方法などをご紹介したいと思います。

 

1.トレー+ジェル+LEDライト  

自宅でのホワイトニングは、自分の歯に合ったトレーと、薬局やネットなどで買えるジェル剤、LEDライトを併用するのが最も効果的と言われています。トレーは市販のものでOKですが、歯医者さんで自分の歯に合わせて作ってらったものが最も効果を発揮します。

 

 

2.ホワイトニング・ストリップ  

歯に直接貼るホワイトニング用のテープです。エナメル質直下の部分を漂白します。LEDライトと組み合わせてもよいでしょう。

 

 

3.ココナッツオイル・プリング  

アーユルヴェーダのホワイトニング方法で、大さじ1杯のココナッツオイルを口に含み、1日20分間ゆすぐというもの。ココナッツオイルが歯垢に浸透し、徐々に歯を白くすると言われています。歯や歯ぐきの細菌を除去する効果も。

 

 

4.赤ワイン、コーラ、お茶、コーヒー、タバコの後、すぐに口をすすぐ  

カフェインが入った飲み物や赤ワインなど、嗜好品の摂取は歯が着色する大きな原因の1つ。これらを長年にわたって摂取し続けていると、歯の表面のエナメル質の内部にまで色素が沈着してしまいます。摂取後すぐに口をすすいだり歯を磨いたりすることで、着色を防ぐことができます。

 

 

5.噛んで唾液を出す  

唾液は虫歯の原因菌だけでなく、着色の原因になる汚れも胃へ流してくれます。また、歯の表面に潤いを与え、美しく見せるという効果も。ガムを噛んだり、噛み砕く動作が必要なリンゴやナッツを食べる習慣をつけるなど、口内を唾液で潤すことを意識してみてはいかがでしょうか。

 

 

コラム ホワイトニングの歴史

歯のホワイトニングの歴史は4千年前に遡ります。クレオパトラの時代、裕福なエジプト人たちは、軽石の粉のペーストやワイン酢で歯を白くしていました。同時代のローマ人は、自然の漂白剤と言われるアンモニアを含んだ尿を使っていたという説もあります。14世紀のフランスでは、ハチミツに焼き塩と酢を混ぜたもので歯を磨くというホワイトニング方法がありました。17世紀のヨーロッパでは、歯の表面にやすりをかけたり酸を塗ったりするという、歯のエナメル質を損なう危険な方法が用いられていました。

 

 

(日刊サン 2019.01.08)