加工食品としては最古の歴史を持つチーズ。その起源は、山羊や羊が家畜として飼われ始めたとされる約8000年前にまでさかのぼります。原料や加工法によって分類されるチーズの種類は1000以上。乳脂肪、アミノ酸、ビタミン類、ミネラル類がバランスよく含まれているスーパーフードです。オアフ島には沢山の種類のチーズを扱うスーパーもあり、私たちにも身近な食品です。今回の健康特集では、チーズに期待される健康効果、栄養成分やその働き、日本のチーズの歴史や今夜すぐに作れるレシピなどをご紹介したいと思います。
チーズの健康効果
1)高いカルシウム吸収率
熟成されたチーズには、カゼインホスホペプチド(CPP)という成分が含まれています。CPPはカルシウムを溶け易くし、小腸で吸収され易くする働きがあります。その吸収率は、含まれるカルシウム全体の50〜60%にもなります。
2)20種類のアミノ酸を含有
チーズに含まれるたんぱく質は、熟成の過程で「ペプチド」と「遊離アミノ酸」に分解されます。この遊離アミノ酸には、必須アミノ酸を含む20種類がバランスよく含まれています。詳しくは後述の「チーズのアミノ酸成分表」をご参照ください。
3)肥満予防
①血糖値の上昇を抑えて肥満を予防
チーズは、食事の後の糖質の吸収を穏やかにし、血糖値の上昇を抑える低GI食品です。血糖値が抑えられることでインスリンの分泌も抑えられ、肥満を予防すると考えられています。
●GIとは?
…GIとはGlycemic Indexの略で、食後の血糖値の上昇度を示す指数です。
●低GI食品が肥満を防ぐ理由
…高GIの食品を食べると、糖質が急激に吸収されて血糖値が急上昇し身体に負担がかかります低GI食品は糖質の吸収を穏やかにし、肥満などを引き起こすインスリンの過剰分泌を抑えます。
食後は血液に糖分が増えた分だけインスリンが分泌されますが、インスリンは血糖値を安定させようと、糖分を脂肪に変えて身体に蓄える働きがあります。そのためインスリンの過剰分泌は肥満に繋がるのです。
●チーズのGI値は30〜33
…一般に、高GI食品はGI値70以上を、中GI食品はGI値56〜69、低GI食品はGI値55以下とされています。チーズのGI値はキノコや大豆などと並ぶ30〜33と、実はかなりGI値が低い食品なのです。
②体脂肪の燃焼を促して肥満を予防
チーズに含まれるアミノ酸の一種・ペプチドとビタミンB2は、体脂肪の燃焼を促します。
③体脂肪として蓄積されにくい乳脂肪で肥満を予防
乳脂肪は、肉などの他の食品に含まれる脂肪に比べ、体脂肪として蓄積されにくいという特徴があります。
4)高血圧予防
チーズにはカリウムが多く含まれています。カリウムは高血圧の一因である過剰なナトリウム(塩分)を排出する働きがあります。血圧の上昇が抑制されると血管にかかる圧力が減り、血管の健康を保つとされています。
5)虫歯予防
歯の一番外の層・エナメル質の97%はリン酸カルシウムです。チーズに含まれるリン酸カルシウムは、傷ついたエナメル質の修復を助け、虫歯を予防します。
6)ピロリ菌を抑制
ブルーチーズなどの青カビ系チーズに含まれる遊離脂肪酸には、胃炎や胃潰瘍を引き起こすピロリ菌を抑制する効果があると言われています。
7)ビフィズス菌の増加促進
特に柔らかいタイプのチーズには、腸内のビフィズス菌を増やす働きがあるとされています。
8)さまざまな保健機能が期待される「共役リノール酸」を含有
牛、山羊、羊などの餌となる牧草には、不飽和脂肪酸の一種のリノール酸が多く含まれます。リノール酸が反芻動物の胃に入ると、微生物によって共役リノール酸という多価不飽和脂肪酸に変化します。共役リノール酸は、脂肪代謝の促進、高血圧予防、糖尿病の改善、がんの抑制など、多くの保健機能が期待されています。
<参考>「チーズの健康効果7選!美味しいだけじゃないんです!」<https://liledefromage.com/health1/>(参照 2019-3-13) Cheese of The Month Club. Retrieved March 13, 2019, from https://www.cheesemonthclub.com