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世界最古の調味料 「酢」のパワー

Bynikkansan

2月 23, 2018

 

穀物酢と果実酢

醸造酢には、主に穀物酢と果実酢の2種類があります。

 

■穀物酢

【大麦黒酢】1ml中、大麦が180g以上使用されているもの。褐色または黒褐色で、モルトビネガーとも呼ばれます。

 

【粕酢】 酒粕が原料の酢で、1804年(江戸時代)、酒造家だったミツカンの創始者、中野又左衛門が考案したものです。江戸時代から戦後まで、握り寿司の酢飯に使われていました。

 

【米酢】1ml中、米が40g以上使用されている酢。

 

【米黒酢】1ml中、糠を取り切っていない米(玄米)が180g以上使用されている酢。麹菌などが作用し、色は褐色や黒褐色になります。黒酢には、他の酢と比べ、アミノ酸とミネラル類が多く含まれています。

 

【黒酢】餅米を醸造し、そこにもみ殻を加えて発酵させるという工程で作られた酢。香醋(こうず)とも呼ばれます。香り高くまろやかな酸味とコクのある風味が特徴です。香酢には、アミノ酸が豊富に含まれています。

 

黒酢:中国江蘇省鎮江市の名産品「鎮江香醋」 (wikipedia.org)

 

■果実酢

【柿酢】

熟れた柿の実を容器内で発酵させたもの。

 

柿酢の製造 (climaxgarden   http://climaxgarden.asablo.jp)

 

【リンゴ酢】1ml中、りんご果汁が300g以上使用されているもの。シードルビネガーとも言います。

 

【ワインビネガー】1ml中、ぶどう果汁が300g以上使用されているもの。

 

【バルサミコ酢】ワインビネガーを長期間熟成させたもの。

バルサミコ酢を使ったイタリア風の前菜

 

リンゴ酢で作る飲み物

リンゴ酢の飲み物は古代ローマ時代から飲まれていますが、アメリカでは、ヨーロッパから独立する1776年以前の植民地時代によく飲まれていたようです。近年、セレブリティーを中心とした健康食品ブームの中、スウィッチェルを始めとしたリンゴ酢の飲み物が再注目されています。

 

ポスカ 《作り方》リンゴ酢少々に水を注ぎ、お好みで好きなハーブを入れる。 *古代ローマでは、ポスカは「万能薬」とされ、主に食前に飲まれていました。

 

ハニーサイダー 《作り方》リンゴ酢少々、ハチミツ適量に、水かお湯を注ぎ、ハチミツが溶けるまでかき混ぜる。 *喉の調子が悪い時にお勧めです。

 

シュラブ 《作り方》リンゴ酢をフルーツジュースと水で割る。 *植民地時代のアメリカで飲まれていました。疲れた時にお勧めです。

 

スウィッチェル 《作り方》リンゴ酢少々と、適量のおろし生姜とハチミツにソーダか水を加える。 *こちらもアメリカの伝統的な飲み物で、日本のたまご酒のように、風邪をひいた時に飲むと良いとされています。

 

コラム

お酢で身体が柔らかくなるというのは本当?

 

 昭和生まれなら、一度は聞いたことのある「酢を飲むと身体が柔らかくなる」という風習。その発端の1つに、こんなエピソードがあります。

あるサーカス団の買い物係が、舞台後の団員たちの疲労回復を促す飲み物として酢を大量に購入しました。それを見た人が「サーカス団員たちの身体が柔らかいのは、大量の酢を飲むからではないか」と誰かに話し、それが噂として広まったというものです。

また、南蛮漬けなど、魚を酢で調味すると魚の骨が柔らかくなることから「酢を飲んだ人間の骨も柔らかくなる」と誤解されたという説もあります。

人間の身体は、靭帯が柔らかくなり、関節の可動域が広がることで柔軟性を増しますが、今のところ、摂取された酢の成分が、靭帯の柔らかさや関節の可動域に影響を及ぼすことはないと考えられています。