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上手に使って暮らしに役立つ 美と健康をもたらす、 様々なオイル

Bynikkansan

1月 24, 2017

オイル(油、脂質)というと、以前は体に悪いイメージを持たれがちでしたが、近年、良質のオイルは私たちの健康や美容に良いという事実が見直されつつあります。オイルとは、一般に植物や動物、鉱物などから採取される疎水性(水と混ざりにくい性質)の物質のことを指し、私たちの身の回りでは、炒め油やドレッシングなどの食用、石けんや整髪料などの化粧用などに活用されています。

 

 

3種類の脂肪酸

油は、含まれる脂肪酸の飽和度(結合の度合い)によって、①飽和脂肪酸 ②一価不飽和脂肪酸 ③多価不飽和脂肪酸 の3種に分類されます。脂肪酸とは脂質を作っている成分のことで、食用として摂取すると私たちの身体の中でそれぞれに異なった働きをします。ここでは、脂肪酸の種類と特徴を見ていきましょう。

 

飽和脂肪酸

牛脂、ラード、バターなどに多く含まれる飽和脂肪酸は、常温では固体で存在し、加熱に強く、酸化しにくいという特徴があります。摂取量が多すぎると、体内に蓄積されて血液がドロドロになったりなどの悪い影響がありますが、少なすぎても、疲れやすくなったり脳出血などの生活習慣病につながると考えられています。従って、母乳にも含まれ体内ですぐにエネルギーとなる中鎖脂肪酸、善玉コレステロールを増やすステアリン酸を含むものを選んで摂取すると良いでしょう。飽和脂肪酸の中で、中鎖脂肪酸を多く含むのはココナッツオイル、ステアリン酸を多く含むのはパーム油です。

 

 

一価不飽和脂肪酸:オメガ9系(n-9系)

人間の体内で作り出せる脂肪酸で、オレイン酸が主成分です。オレイン酸は血中のコレステロールを減少させたり、生活習慣病予防に効果があると考えられています。人間の肌の油脂を構成している脂肪酸に多く含まれるもので、肌馴染みが良く、皮膚を柔軟にする働きがあります。アボカドオイル、オリーブオイル、ひまわり油などに多く含まれます。

 

 

多価不飽和脂肪酸:オメガ3系(n-3系)、オメガ6系(n-6系)

多価不飽和脂肪酸は、オメガ3系とオメガ6系に分類され、人間の生命維持に必要でありながら、体内でほとんど作ることができない脂肪酸です。栄養学では積極的に摂取することが推奨される「必須脂肪酸」となっています。理想的な摂取の割合はオメガ3:オメガ6=1:4と言われています。

 

 

オメガ3系 (n-3系)  

オメガ3系は、大まかに αリノレン酸、EPA、DHAの3種 に分類されます。脳の活動を助け、血液をサラサラに保つ働 きがあります。

《αリノレン酸》  

フラックスシードオイルや、チアシードオイル、クルミ油 などに多く含まれます。抗炎症作用などの働きに加え、脳膜 を作る材料となり、脳の働きを助けるのに重要な役割を担 っています。酸化しやすく熱に弱いため、ドレッシングの材 料にしたり、スムージーに加えるなど、生食で摂取するとよ り良いでしょう。

 

《EPA》  

エイコサペンタエン酸の略称で、血液と血管を健康に保 つのに欠かせない成分で、高脂血症や動脈硬化、心筋梗塞、 脳梗塞を予防する働きがあります。また、摂取すると血液中 に増えやすいという特長があります。サンマやイワシなどの 青魚に多く含まれます。

 

《DHA》  

ドコサヘキサエン酸の略称で、脳や網膜などの神経系に 豊富に含まれ、頭の働きを良くし、うつ病を予防・改善した り、成長期の子供の脳と神経の発達を促す働きがあると考えられています。EPAとは異なり、摂取しても血液中に増えにくいため、栄養学では、意識して摂取することが推奨されています。DHAもEPAと同様、青魚に多く含まれます。オメガ6系(n-6系)身体のエネルギー源となり、細胞組織や生理活性物質の材料となるリノール酸を多く含みます。オメガ6系は、サフラワー油、コーン油、大豆油などの代表的な食用油に多く含まれるため、現代の食生活の中で不足することはまずないと言われています。過剰に摂取すると、血液がドロドロになる、免疫作用が乱れる、細胞組織の炎症が起きやすくなるなどの不調が出るため、摂る量に気を配りたい油です。

 

植物由来のオイル

植物由来のオイルは、ナッツ類や木の実など、様々な植物から採取されます。種類によって、香りや色、感触、働きなどが異なります。ここでは、スーパーなどで手軽に購入できるオイル、インターネットなどで話題になっているオイルを中心に、いくつかの植物オイルをご紹介します。

 

★アーモンドオイル

原料:アーモンド(バラ科)の種子

主な用途:ドレッシングなどの生食、マッサージのキャリア オイル、髪・肌の保湿、皮膚の痒み・炎症のケア

特徴:約80%がオレイン酸で構成され、ビタミンEやミネラ ル分を含みます。軽い感触で伸びが良く、肌のマッサージや 保湿に向いています。巴旦杏(はたんきょう)油とも呼ばれ ます。

色:薄黄色 香り:かすかなアーモンドの香り

感触:軽く、やや粘性がある

主な産地:地中海沿岸

 

 

★アボカドオイル

原料:アボカド(クスノキ科)の実

主な用途:炒め油、肌や髪の保湿

特徴:オレイン酸、ビタミンEを多く含みます。風味を保つた め、低温で圧搾するコールドプレスという製法で作られるこ とが多い油です。オリーブオイルよりも熱に強く、加熱して も料理の風味を保つので、食用では炒め油に向いています。

色:濃いグリーン 香り:ほのかなアボカドの香り

感触:やや重く、粘性が高い

主な産地:メキシコ、中南米、インドネシア

 

 

★アルガンオイル

原料:アルガン(アカテツ科)の種子

主な用途:整髪剤、髪・肌の保湿

特徴:世界遺産に指定されているアルガンの木は、モロッコ の砂漠地帯にのみ自生します。モロッコでは、食用、薬用、化 粧用などとして古くから利用されています。ビタミンEのア ルファ、ベータ、ガンマ、デルタトコフェロールの4つの構造 を全て含み、植物性オイルの中でも特に抗酸化作用が高い と評価されています。

色:薄い黄色 香り:ナッツのような香り

感触:軽く、粘性が低い

主な産地:モロッコ南西部

 

 

★アンズ油(アプリコットオイル)

原料:杏(バラ科)の種子の仁(さね:種子の殻をとった後の 中身で、杏仁とも言います)

主な用途:髪・肌の保湿

特徴:オレイン酸が75%、リノール酸(α、γ)が35%含まれ ます。アーモンドオイルに似て伸びがよく、髪や肌の保湿に 適しています。また、湿疹による痒みを緩和する効果がある と考えられています。 

色:無色~薄い黄色

香り:ほのかな杏の香り

感触:軽く、粘性がほぼない

主な産地:カリフォルニア、中国、トルコなど

 

 

★エゴマ油

原料:荏胡麻(エゴマ:シソ科)の種子

主な用途:ドレッシングや料理にかけるなどの生食

特徴:αリノレン酸を豊富に含み、生活習慣病の予防やアレ ルギー症状の緩和を促すと言われています。熱に弱いため 生食に向いており、またαリノレン酸はタンパク質の中のア ミノ酸によって働きが促進されるので、卵かけご飯や、調理 した鶏肉にかけて摂るのがお勧めです。

色:黄色~オレンジ色

香り:やや青臭い香り

感触:軽く、粘性がほぼない

主な産地:日本、中国

 

 

★オリーブオイル

原料:オリーブ(モクセイ科)の実

主な用途:ドレッシングなどの生食、乾燥肌のケア

特徴:エクストラバージンオリーブオイルには、イブプ ロフェンに似た抗炎症作用のある「オレオカンター ル」という成分が含まれます。この成分は、脳や 循環器の炎症を鎮め、認知症や心臓病を予防す ると考えられています。

色:薄い黄緑~緑色

香り:熟したオリーブの実の香り

感触:重く、粘性が高い

主な産地:スペイン、イタリア、ギリシャ

 

 

★ツバキ油(カメリアオイル)

原料:椿(ツバキ科)の種子

主な用途:髪・頭皮・肌の保湿

特徴:人の皮脂にも含まれる「オレイン酸トリグリセリド」を 豊富に含むため、化粧用として肌や髪に馴染みやすく、刺激 も少ないオイルです。また、軽い紫外線防止効果があります。

色:オレンジがかった黄色

香り:やや青臭い香り

感触:やや重く、粘性が高い

主な産地:伊豆諸島、九州各地

 

 

★ククイナッツオイル

原料:ククイ(トウダイグサ科)の種子や実

主な用途:日焼け後の炎症・乾燥肌のケア、髪・肌の保湿

特徴:オメガ3系脂肪酸を豊富に含みます。ククイはハワイ の州木とされ、ハワイアンの間では、100年以上前から日焼 け止めや軽いやけどの塗り薬として愛用されています。

色:薄い黄色

香り:甘いナッツの香り

感触:軽く、粘性が低い

主な産地:ハワイ、グアム

 

 

★グレープシードオイル

原料:葡萄(ブドウ科)の種子

主な用途:炒め油、マッサージのキャリアオイル、乾燥肌の ケア

特徴:オレイン酸、リノール酸、ビタミンE、ポリフェノール が含まれます。食用として摂取すると、血栓や心疾患を予防 する働きがあると言われています。耐熱性がありほぼ無臭 なので、炒め油に適しています。化粧用としては肌の保湿、 収れんに優れているオイルです。

色:淡い黄色~緑色

香り:ほぼ無臭

感触:軽く、粘性がほぼない

主な産地:チリ、イタリア、フランス、スペイン

 

 

★ゴマ油

原料:胡麻(ゴマ科)の種子

主な用途:炒め油、ドレッシングなどの生食、アーユルヴェ ーダのオイルマッサージ

特徴:オレイン酸、リノール酸、ビタミンE、Kが豊富に含まれ ます。食用としては、動脈硬化や骨粗しょう症の予防、女性 ホルモンの代謝を促す働きなどがあると考えられています。 ごま油特有のセサミンという成分は、アルコールが分解され る途中で生成される毒素、アセトアルデヒドの生成を抑える ため、二日酔いを予防する効果があると言われています。

色:無色~茶色

香り:ゴマの香り

感触:黒ごま油→軽く、粘性が少ない、白ごま油→重めで、粘 性が高い

主な産地:スーダン、タンザニア、インド、中国

 

 

★タマヌオイル

原料:照葉木(テリハボク:日本語でタマヌのこと、オトギリ ソウ科)の実

主な用途:虫刺されや湿疹、ニキビ、乾燥肌のケア、エイジン グケア

特徴:オリーブオイルの20倍の抗酸化力があり、エイジン グケアに向いています。また抗炎症作用、鎮痛作用があり、 ニキビのケアや軽いやけど、筋肉痛などにも用いられます。 薬効の多さから、原産地のタヒチでは「森の薬局」と呼ばれ ているオイルです。

色:濃いグリーン

香り:スパイシー

感触:重く、粘性が高い

主な産地:タヒチ

 

 

★フラックスシードオイル(亜麻仁油)

原料:亜麻(アマ科)の種子

主な用途:ドレッシングなどの生食、フェイスケア

特徴:α-リノレン酸、オメガ3系脂肪酸、各種ビタミンB、Eを 豊富に含みます。また、フラックスシードオイルに含まれる ポリフェノールの一種「リグナン」は、腸内細菌によって女 性ホルモンと同様の働きを持つ成分に変化し、更年期障害 の症状の一つ「ホットフラッシュ」に効果があることが分か っています。

色:黄色 香り:フラックスシードの香り

感触:軽く、粘性が低い

主な産地:カナダ、中国、インド、アメリカ

 

 

★マカダミアナッツオイル

原料:マカダミア(ヤマモガシ科)の種子

主な用途:髪や肌のケア 特徴:マカダミアナッツオイルに多く含まれるパルミトレイ ン酸は、人の皮膚にも含まれる成分で、皮脂や角質層の働き を正常に保ちます。肌への浸透力が大変高いため、消えてな くなる油という意味の「バニシングオイル」とも呼ばれてい ます。

色:薄い黄色~琥珀色

香り:マカダミアナッツの香り

感触:軽く、やや粘性がある

主な産地:ハワイ、オーストラリア

 

 

★マルラオイル

原料:マルラ(Sclerocarya科)の実

主な用途:肌・髪の保湿、エイジングケア

特徴:リノレン酸、オメガ6、オメガ9、ビタミンC、Eを多く含 みます。その抗酸化力の高さから、特にアンチエイジングに 優れているオイルとして、近年評価が高まっています。原産 地の南アフリカでは、湿疹や火傷、ニキビなどのケアに用い られています。

色:白みがかった透明色

香り:ほぼ無臭

感触:軽く、粘性がない

主な産地:南アフリカ

 

 

★モノイオイル

原料:ココナッツオイル、タヒチアンガーデニア(アカネ科) の花

主な用途:髪・頭皮・肌の保湿、軽い日焼け止め

特徴:モノイオイルは、タヒチアン・ガーデニアの花をココ ナッツオイルに2~3週間浸して作られるオイルです。ガー デニアの他、バニラビーンズやイランイランなど、タヒチ産 の植物を浸して作るものもあります。南国の明るさを想わ せる華やかなガーデニアの香りが特長です。

色:白みがかった透明色

香り:ガーデニアの香り

感触:重く、粘性が高め

主な産地:タヒチ

 

 

オイル豆知識

「ミネラルオイル」とは?

鉱物油、鉱油とも呼ばれ、石油からプラスチックなどの工業製品を作った後に出る廃油を脱色・精製した、純度の高い無臭のオイルです。白色ワセリンがその代表で、傷ついた皮膚を保護する軟膏として、日本薬局方で処方が定義されています。化粧品に含まれるミネラルオイルは、パラフィン、流動パラフィン、ワセリン、セレシンと表示されることもあります。

 

人の油脂とは成分が異なるので、皮膚には浸透しませんが、口紅やファンデーションなどに配合すると、つきや伸びがよく保存性の高いものになるので、ワセリンを取り入れた化粧品が多く流通しています。体を脂肪燃焼モードにする「MCTオイル」MCT(Medium Chain Triglyceride)オイルとは、ココナッツオイルから作られる中鎖脂肪酸100%のオイルです。

 

ココナッツオイルオイルに含まれる中鎖脂肪酸は約60%ですが、その中から中鎖脂肪酸のみを取り出して精製したものが、MCTオイルです。中鎖脂肪酸は、他の脂肪酸に比べて消化、吸収されるまでに時間が短く、摂取後、身体の中ですぐにエネルギーとなります。通常、私たちの体は糖分を優先的にエネルギーとして燃焼しますが、MCTオイルを摂取すると、油(脂肪)を優先的にエネルギーとするモードになり、身体の中でMCTオイルが燃焼されるのに並行し、脂肪も燃焼しやすくなると考えられています。

 

MCTオイルは無味無臭で、サラサラの油なので、暖かい飲み物やスムージー、ドレッシングなどに混ぜて摂取しやすいオイルです。特に、暖かいコーヒーに小さじ一杯程度のMCTオイルを混ぜて朝や運動前に飲むと、カフェインとの相乗効果でより効率的に脂肪が燃焼されると言われています。

 

 

オイルにまつわるクイズ

(1) 日本で最も古くから使われている植物油は、何の油でしょうか?

①カヤ油 ②コメ油 ③アマニ油 ④ゴマ油 ⑤大豆油

 

 

(2) 仕事中に無駄話をしてダラダラと時間を過ごすことを「油を売る」と言いますが、この言い回しの由来は何でしょうか?

① 江戸時代の髪油を売る商人は、主な客となる女性たちを相手に、長々と世間話をしながら油を売っていたことが由来。

② 江戸時代の菜種油を売る商人は、自身の食事にも菜種油を多く取り入れていたため、脳が活性化し、頭の回転が速い人が多かった。従って、油商人にはよく喋る人が多く、客に油を売る時、関係のない内容の長話を吹っかける傾向にあったことが由来。

③ 江戸時代の油を売る商人は、当時貴重品で高価だった油を買ってもらうため、客に油の長所について長々と説明をしたことが由来。