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ハワイのホットな最新医療情報【おたふく風邪】

昨年は、食物感染によるA型肝炎がハワイで広まりましたが、現在ハワイでは流行性耳下腺炎(MUMPS/ムンプス)、通称お多福風邪が流行しています。

今年に入り、ハワイでは現時点で96名の方が感染したと報告されており、今後もまだ感染は拡大されると予想されています。それともいうのも、お多福風邪は感染力が強いからです。潜伏期間は16〜18日間と言われ、感染力は、症状が現れる3日前から、症状が現れた後9日ぐらいとされています。  

感染が拡大する一要因としては、症状が現れる前から感染力があるので、かかった人が知らないで回りに広めている可能性があるからです。  

 

症状は風邪のような症状で、発熱、倦怠感、喉の痛み等で、特徴的なのは名前の通り耳の下の辺りが腫れることです。お多福風邪と呼ばれる由来は、症状がお多福面=顔が丸く頬がふっくらとしている顔、お多福面のように顔が腫れることから来ています。腫れは片側の場合がほとんどですが、両側が腫れることもあります。また片側の腫れが引いたら、逆側が腫れ出すこともあります。  

ただほとんどの場合、インフルエンザのようにかなりつらいものではなく、腫れも数日で収まり、見た目もそれ程“重症”という感じではありません。ただ稀ですが、他の合併症を起こすこともあります。  

通常はお子さんの病気とされていますが、大人もかかる可能性があり、妊婦さんが感染すると流産する可能性もあります。また大人の男性がかかると睾丸の炎症を起こすこともあり、生殖機能に障害をもたらすこともあります。男性だけではなく、女性では卵巣炎を起こすこともあります。  

このように稀ではありますが、重い合併症を起こす場合もあるので、ハワイ州では拡大しないよう対策を取り、注意を促しています。  

 

予防策は、予防接種です。1956年以降に生まれ(1956年以前に生まれた方は、昔はお多福風邪の予防接種がなかったため、ほとんどの方が過去に感染していて既に免疫力がある)、過去に耳下腺炎にかかったことがなく予防接種をしていない方は、ハワイ州では受けるよう勧めています。  

予防接種は2回(初回+1ヶ月後)必要です。予防接種をしてから効き目が現れるのに2週間程かかりますが、それでも1回の予防接種でも93%の予防率があると言われています。

 

とりあえずすぐできる予防策は、これは耳下腺炎だけに関してではありませんが、外出後は手をよく洗い、うがいをすることです。体調管理をしっかりして、皆さん感染しないように気をつけましょう。

 

 

 

Dr. 堀 育史

Urgent Care Clinic of Waikiki ワイキキ緊急医療クリニック(堀医院)院長

ネブラスカ州私立クレイトン大学医学部卒・同大学レジデント修了

アメリカ家庭医学公認医師