日刊サンWEB

過去記事サイト

海外Food Trend イタリア・トリエステ編 vol.1

Bynikkansan

4月 4, 2017

北アドリア海の宝庫、トラットリアNero di Sabbia

 

<海の街、トリエステから>

ここトリエステはヴェネツィアから150キロほど東へ進んだ、アドリア海に囲まれた海の街。この辺りでは、海の幸を楽しむのが贅沢なひとときの代表格。海の幸ならトリエステNo.1といわれるのが、トラットリアNero di Seppia。トリエステの中心街の片隅にひっそりと佇む小さなトラットリアだが、連日満席というお墨付き。

 

 

<生き生きとした北アドリア海の味覚>

Nero di Seppiaでアドリア海の旬を最大限に味わうならば、カルパッチョもしくはタルタラの盛り合わせ。Orataと呼ばれる黒鯛やBranzinoと呼ばれるヨーロッパシーバス、または私たちにも馴染みのある鮪や小ぶりの海老など、その時どきの新鮮な海鮮を提供してくれる。そんな生き生きとした海の味覚を味わった後は、パスタやリゾットでイタリアならではの美食を楽しみたい。パスタをチョイスするなら、からすみを振りかけたスパゲッティ。あるいは、北アドリア海から届く小ぶりなあさりで作られたボンゴレ・ビアンコは、イタリア一の美味しさ。もちろんリゾットでも、このあさりの繊細な出汁が凝縮されて、口の中でボンゴレの味がぐっと広がる。

 

<地中海の鱸を食す>

メインには、やはり近海の魚を選びたい。多種多様な魚が市場に並ぶが、おすすめしたいのはまずはBranzinoと呼ばれるヨーロピアンシーバス。シーバスと聞くと日本人には馴染みがなく、ぴんとこないが、地中海の鱸とも呼ばれる。鱸の味に似たヨーロピアンシーバスを塩釜焼きにしてもらう。塩釜焼きとは、卵白をもったりとするまでかき混ぜメレンゲを作り、メレンゲと塩と混ぜ合わせて魚を丸ごと包み込んで焼き上げたもの。この料理方法は日本でも伝統料理のひとつとして食されるが、ここイタリアでもよく知られた一皿。淡白な、しかし美味のヨーロピアンシーバスで、ぜひ味わっていただきたい。

 

<上質な白ワインとともに>

イタリア料理は日本料理と共通して、素材そのものの味を生かすことが命ともいわれている。特に魚料理では繊細な海鮮の味を壊さずに調理されなければいけず、だからこそ魚料理のお供には、旨味を引き立たせてくれる上質な白ワインが欠かせない。トリエステが位置するフリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州は、その海の幸の食文化から、イタリア随一の白ワインの名産地としても知られている。トリエステ周辺には、数多くのワイナリーが点在している。そこから運ばれる最高級のワインは、魚料理にはなくてはならない貴重な存在。自分好みのワインとともにイタリアの食を堪能するのが極上のイタリアの魅力。まさに、地中海の至福。

 

 

<贅沢を約束された空間、Nero di Seppia>

Nero di Seppiaは、決してリーズナブルとはいえないが、地元の人々に愛される理由のひとつは、新鮮な魚をいつでも提供してくれること。そして、気取らないリラックスした雰囲気が、さらなる魅力だろう。地中海スタイルの贅沢を約束された、そんなトラットリアだからこそ、海の幸ならNero di Seppiaが選ばれる。

 

 

ライター  /Mao Gasperini

イタリア、トリエステ市在住。2010年より5年間、トルコのイスタンブールでベリーダンサーとして活動。2015年にイタリア、トリエステへ移住。イタリアの食に魅了されて、食べ歩き、料理研究の毎日を過ごす。