ダリル・タケノ弁護士(右)
【前回許可された請願書を尊重する方針を排除】
米国移民局(USCIS)は2017年10月23日、ステータス(米国での滞在許可証)の更新が行われる際、スポンサー、受益者、及び就労ビザの背後にある事実が何も変わっていない場合でも、前回許可された請願書を尊重する現在の実務を排除する方針を発表しました。
この新たな政策は、H-1B、E-2、L-1、O-1などを含むすべての請願書I-129フォームを使用する更新に影響します。この変更はトランプ政権が掲げている「米国製品を買い、米国人を雇う(Buy American and Hire American)」という方針の一部です。
Q:どの就労ビザ保持者が影響を受けますか?
この新たな政策はステータスの更新が求められるすべての就労ビザ保持者に適用されるでしょう。基本的にH-1B、E-2、L-1、O-1等の非移民ビザを含め、USCISによる請願書I-129の許可を得なければならないほとんどの就労ビザに及びます。
Q:新規政策によって更新の審査がどのように変わりますか?
新たな政策の下では多数の更新がより厳しい審査に直面するでしょう。以前の方針の下で、USCISの審査官は、前回の許可を尊重して、請願書の背後にある関連事実がそのままであった場合、結果として請願者の立証責任を軽減することにつながりました。
新規政策の下で、ステータスの更新を求める請願者は、初めての申請と同様にすべてのビザの申請条件を立証できるように、十分な証拠を提供しなければなりません。一方ではUSCISの審査官が前回の許可を考慮しない傾向が既に強まっているため、ある意味でこの変更は単なる現在の実務を正式に採用したという見解もあります。
現時点では、請願書I-129を使用する更新を審査する際、この新たな政策に基づき、USCISがどれほど既存のビザを本質的に見直すかはまだ不明です。しかし、少なくともこの変更は審査官による無駄な追加資料の請求を奨励し、更なる手続き上の遅延に導く可能性が十分にあると考えられます。
Q:更新の許可を得るには何か良い対策がありますか?
すべての労働ビザの更新に対して、以前許可された請願書に頼らず、初めてビザを申請する時と同様に適切な就労ビザの各々の申請条件を満たす証拠を確実に提供し、詳細に説明するように努める必要があります。
なお、現在のステータスを合法的に維持していることだけでなく、将来的にもビザの申請資格を満たし続けることも立証できるように、補足書類を慎重に選定することが大事でしょう。例えばH-1Bビザを更新する場合、新しく要求されたH-1B期間にわたって受益者のための十分な量の仕事が見込まれていることを立証した方がよいでしょう。
(日刊サン2017. 11 )
ダリル・タケノ 弁護士ハワイ出身の移民法弁護士。日本での留学・勤務経験を生かし、日本人のお客様にわかりやすく法律サービスを提供している。英語だけでなく、日本語での移民に関する相談も受け付けている。 ウェブ: http://www.migrationcounsel.com E-mail:[email protected] |
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