銀行詐欺や謀議罪などに問われている元ホノルル市警(HPD)本部長ルイス・ケアロハ被告(59)と、その妻で元市副検事官のキャサリン・ケアロハ被告(49)は10月22日、司法取引に応じ、初めて有罪を認めた。銀行詐欺の罪も認め、複数の被害者に45万ドル以上の賠償金を支払うことに同意した。
また、キャサリン・ケアロハ被告は、悪質な個人情報盗難と重罪の隠匿も認め、この司法取引により、両被告に対する残りの容疑は取り下げられた。
ケアロハ被告夫妻による、史上最大級のスキャンダルは、キャサリン・ケアロハ被告の元上司キース・カネシロ検察官と、市政府の主任民事弁護士のドンナ・レオン氏も巻き込んだ。レオン氏は、ルイス・ケアロハ被告がホノルル市警を退職した際に退職金を払い、大きな物議を醸した。両人とも現在は有給休暇中である。
一連の事件の発端は、すでに今年6月ケアロハ被告夫妻と市警の2人の警官が謀議と司法妨害の罪で有罪判決を受けた、2013年に起きた郵便箱の盗難事件。
裁判官は、「ケアロハ被告夫妻は、キャサリン・ケアロハ被告の叔父ジェラルド・プアア氏と母親のフローレンス・プアナさんとの間で争っていた金銭問題が表に出るのを恐れ、プアナ氏を陥れようと計画。容疑者夫妻と市警の2人は、その公的な立場を利用し、プアナ氏をケアロハ被告夫妻の郵便受けを盗んだ罪に陥れようとし、連邦捜査官に虚偽の申告をした」と裁定した。
10月22日の司法取引の合意によると、両被告は、贅沢な生活を送るために、2009年1月〜2014年12月の期間に、盗んだ59万1千ドル以上を使ったことを認めた。この金は、キャサリン被告の祖母のフローレンス・プアナさんがリバース・モーゲージ(自宅を担保にした融資)で得たもの、キャサリン被告が法廷で身元引受人に任命された2人の未成年者(ランセンとアリアナ・タイトさん)の資金、銀行および信用組合からのローン詐欺で得た資金などである。
キャサリン・ケアロハ被告はまた、この銀行詐欺でアリソン・リー・ウォングという架空の名前をメールで使用したことを初めて認め、弟がからむ麻薬事件では、重要な情報を捜査担当の刑事に隠したことも告白した。
ケアロハ被告夫妻は、司法取引で、フローレンスとジェラルド・プアナさんに約29万ドル、タイトさん2人に16万5千ドル以上の賠償金を支払うことに同意。さらに銀行詐欺で得た22万8千ドルの没収にも同意した。また、同被告夫妻がハワイカイの家の売却で残った6万3千ドルとロレックスの時計の没収にも同意した。
同被告夫妻の刑期は、長期刑が見込まれるが、複雑な要素が絡み確定していない。公民権侵害になるのか、司法妨害になるのか、によって違ってくる。最も重い銀行詐欺では、最高30年の懲役と最高100万ドルの罰金が科せられるが、司法取引に基き捜査に対する全面協力を約束しており、証言の内容によって情状酌量されることになる。
22日の裁判では、キャサリン・ケアロハ被告は、信用組合に融資を申請した際、一人の警察官が別の警察官の署名を偽造したと述べた。同被告はそれを知っていながら、申請書を送り融資を詐取した。
司法取引の合意によると、同被告夫妻が有罪を認めたことにより、控訴の権利を放棄したことになる。
(日刊サン 2019.11.2)