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失敗について

 

こんにちは。メアリーです。

 

今日は失敗についてのお話しです。 「メアリー先生、失敗ってなぁに?」と聞いてきたのはまだ5歳の生徒。「メアリー先生はどうして津田梅子と同じぐらいの歳にアメリカに行ったの?」など、いつもユニークな質問でレッスンを楽しくしてくれる女の子です。

 

この「失敗」について生徒から質問された時、ちょうどバルセロナにあるグエル公園でのひと時を思い出していた私にとってはタイムリーなものでした。

 

グエル公園とはスペインのお金持ちであったグエル氏が、天才建築家ガウディに設計デザインを依頼した元高級分譲住宅地です。健康への意識がとても高かったグエル氏が、緑豊かな環境で疫病などから身を守り、同じ心意気の人たちと近所付き合いができる、のんびりとしたコミュニティーを夢見て計画した場所。

 

どこを歩いても素敵なデザインで、まるでおとぎの国に迷い込んだような気分にさせてくれるのです。 ところがこの一風変わった住宅地のアイデアに当時のお金持ち達は共感せず、実際に建てられたのはグエル氏とガウディ自身の家、そしてグエル氏の弁護士宅の3棟のみでした。

 

60棟を計画していたグエル氏にとっては相当なショックだったことでしょう。本人が亡くなった後、市に買い取られ公園として活用されるようになりましたが、100年前は『大失敗』と呼ばれたものが今では世界遺産に登録され、世界中からバルセロナへと観光客を呼び寄せる理由の一つとなっています。

 

当初の目的は果たせなかったグエル氏ですが、マザーテレサの言葉にあるように、彼が情熱を持って自分の夢を貫いたことに私は強く心を打たれました。

 

「人生は夢です。それを実現してください。神様は私たちに成功してほしいなんて思っていません。ただ挑戦することを望んでいるのです」 これは私が日頃から生徒達に教え込んでいる考えと同じで、結果だけを見るのではなく、真剣に取り組む自分の姿もよく見てほしいということです。

 

未知の経験(CQ)を楽しんでいる自分を常に冷静に管理し(EQ)、徹底した分析力(IQ)と行動力(EQ)で突き進んで行ける人になってほしい、人生そのものが成長できるチャンスの宝庫であることをいち早く子ども達に気づいてほしいと思い、様々な方法で刺激を与えています。

 

何を失敗とみなすかは人それぞれですが、どの失敗に対しても言えることは失敗上手であるべきだ、ということです。同じ間違いは繰り返さないように努め、失敗から学んだ経験で自分の将来をより豊かなものにする能力と柔軟性を身につける必要があります。

 

そのために親としてできることと言えば本当に簡単なこと。転んだ子には「自分で立てる?」と聞き、困っている時には「ママに手伝えることがあれば教えてね」と伝え、後はどう本人がやりくりするのかを見守るだけ。

 

先回りをして障害物を取り除いてしまうとせっかくの成長の場が失われてしまいます。やりくり上手でクリエイティブな子にするにはママの忍耐も大切です。

 

教育スペシャリスト メアリー先生 vol. 6

(日刊サン 2019.10.19)

 

メアリー

教育現場に24年携わるハワイ在住の教育スペシャリスト。カカアコにて英才キッズアカデミーを運営。人間能力開発研究所の創立者であるドーマン博士に直々教わったテクニックと独自の研究を合わせ、「IQ(頭脳)とEQ(人間性)をバランスよく育てる教育法」を開発。こどもLLCなど、子どもが社会に出るのを楽しみにするようなレッスンが人気。また、ストレスのない受験対策や子育ての細かい指導法は信頼が厚い。

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