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アラワイ・プロジェクト停止を求め 集団訴訟

Bynikkansan

10月 5, 2019

市と州は、米陸軍工兵隊と連携したアラワイ洪水リスク管理プロジェクト (総工費3億4500万ドル)の資金計画と行動予定の合意書に署名したが、9月18日この差止めを求める集団訴訟が第一巡回裁判所で起こされた。 訴訟を起こしたのは、パロロとマノア地区の住民らで構成される地域団体の「アラワイ流域保護プロジェクト」。

 

州の資金援助を受け市が管理する同プロジェクトは、ワイキキや他の地区を洪水のリスクから守ることを目的とし、運河の周りに壁を作り、集水域の上流に巨大な洪水調節構造物を設置するものである。 コールドウェル市長は、市がプロジェクトの維持・管理を行うための合意覚書について、州と交渉を開始する。合意の一部として、州は、約2億2千ドルの連邦資金を得るために必要な1億2500万ドルを拠出することになっている。

 

この合意は、工兵隊が市とのパートナーシップ契約を締結するために不可欠である。 同訴訟の原告の弁護士デビッド・フランケル氏は、「2017年以来データと計画が変更されているにもかかわらず、市と州は、環境影響説明書をアップデートしていない。

 

この訴訟は、適切な環境影響説明書が提示されるまで、州と連邦の資金提供の決定を阻止しようとするものである」と述べた。連邦政府は2017年時点での環境影響説明書を受諾している。 工兵隊の同プロジェクト・マネージャーのジェフ・ハーゾグ氏は、市と州の努力を評価しつつ、「データを洗いなおし、ホノルルの地域社会、インフラ、経済を保護するための方策を提示したい」と述べた。

 

ワイキキ近隣理事会は、「問題の早期解決を望んでいる。このプロジェクトはワイキキでの大規模洪水被害を防ぐための正しい選択肢だと思う。地域の利害関係者は、裁判で時間と金をかけるより、工兵隊と話し合って妥協点を探って欲しい」とコメントした。

 

しかし、アラワイ流域保護プロジェクトのリンチ会長は、「工兵隊との会話は役に立たない。我々は、生態系の回復、運河の清掃、計画されている拘留池と壁の代わりに洪水ゲートとポンプの設置、アラワイ・ゴルフコースの湿地使用、などの案を検討するよう要求しているが、当局は何も行動を起こしていない」と失望を表明した。

 

7つの近隣理事会がプロジェクトに反対し、5つの学校と多くの有権者が懸念を表明しているが、市議会のアン・コバヤシ、キャロル・フクナガ、トミー・ウォーターズの各議員はグループを結成し、地域住民と意見を交換し、技術コンサルタントと契約を結び、「私有地の没収を伴わず学校と公園を洪水から守る」解決策を模索している。

 

 

(日刊サン 2019.10.05)