10月15日に発効するトランプ政権の新政策によると、ハワイ在住の正規移民が、フード・スタンプやメディケイドなどの連邦支援を利用した場合、将来のビザと永住権更新を拒否される可能性がでてきた。 トランプ政権当局者は、この「公的負担」規程は、移民の自立と自己責任の促進を目的としていると説明しているが、民主党は猛烈に反対している。激怒している民主党議員には、移民の一人でハワイ選出のメイジー・ヒロノ上院議員と27名の民主党議員が含まれる。
この28名の議員は9月17日、トランプ政権が連邦資金を使用してこの新規程を実施することを阻止しようと、米国価値保護法を提案した。ヒロノ議員は、「この新規程の真の意図は、移民家族の不安を煽ることである。勤勉で納税をしているハワイの移民の多くが、医師の診察や必要なサービスを受けることを恐れている」と述べた。
クレア・コナーズ州検事総長も9月初め、同規定が連邦移民法および福祉法に違反するとして、他の州とともに米国国土安全保障省を提訴した。 「公的負担」規程は、移民に関する全国な論争に発展し、この規定に反対する人々は、トランプ政権は、ヨーロッパ人を優先しつつ、アジア、ラテン・アメリカ、アフリカの貧しい地域からの移民を差別していると非難している。
トランプ大統領の「アメリカ・ファースト」における移民政策の一部であるこの規定は、入国・残留を希望する移民の申請を審査する際に入国管理官が考慮すべき「否定的な」要因を特定している。
●大学教育を受けていない、●限られた英語を話す、●私的に治療できないほどの医学的状態にある、●限られた収入、の人々が審査対象となる。また、貧困家庭一時援助、セクション8住宅、フード・スタンプ、メディケイド、などの公的支援を受けた場合は、「否定的」要因と見なされる。
これとは対照的に、この規定では、英語の流暢さ、高度な学位、富は「肯定的」要因とされている。 この規定は過去には遡及されないが、既に移民として米国で暮らしている者へ精神的影響を与えている。
ある全国調査によると、移民家族の7人に1人は、自分または家族が、将来のグリーンカード継続拒否を危惧し、2018年の連邦給付プログラムを申請しなかったという。また他の調査によると、この「マイナスの精神的影響」は約11万人のハワイの移民に及ぶ可能性があるという。
また、ハワイ在住ミクロネシア、パラオ、マーシャル諸島出身の市民にも、この「公的負担」規程が適用される。ただし、どのように実施されるかは明確ではない。というのは、彼らは、自由連合盟約により、自由に米国に出入りすることができ、ビザを必要とせず、また、フード・スタンプ、メディケイド、メディケアを含むほとんどの連邦給付プログラムの対象にはならないからである。
親がフィリピン人移民であるハワイ共和党のシャーリーン・オストロフ議長は、「私の両親は移民で、移民の皆さんの懸念はよく理解できる。しかし、資源は限られており、自立できない人に公的資源は使えないという政策は、昔から行われてきており、このトランプ政策は目新しいものではない」と述べた。
(日刊サン 2019.10.05)