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ハワイの教育コラム|イゲット千恵子の子供をビジネス脳にする vol. 16

ハワイの教育コラム|イゲット千恵子の子供をビジネス脳にする

Vol. 16 ベンチャー投資額が全米1位の教育思考

 

息子の大学の入学式に参加するため、ボストンに行ってきました。ボストンと言えば大学の街、というくらい学生が多く、入寮の準備に現地調達をしようと思っていた生活用品が、卓上スタンド、ゴミ箱、ランドリーバスケット、箱ティッシュに至るまで、ターゲットを2店もUberでハシゴしましたが、売り切れていました。

 

「これはまずい」とすぐにAmazonでオーダーしたら、ハワイと違って次の日には配達予定になっていたのですが、今度は大学内の発送業務がいっぱいで、荷物は届いているものの、まだ受け取れていない状態です。

 

メインランドから来る学生の家族が車いっぱいに荷物を詰めて入寮する意味が初めてわかりました。売り切れ予防です。

 

入学式では、各学部に分かれて座席が決まり、学部長の紹介などがありました。世界各地から集まった学生たちと、入寮に送ってきた親たちでアリーナはいっぱい。各家庭の教育への意気込みを感じる瞬間でもありました。

 

親元から離れていく寂しさはありますが、どの家庭でも我が子の入学を誇らしげに思って、教育環境の素晴らしさと我が子へ投資をしているわけです。 ボストンがあるマサチューセッツ州に大学は150校以上あり、その中でも全米のトップ100位に入る大学が10校も5km圏内にまとまっています。

 

そのため世界中から優秀な頭脳と人脈を繋げやすいので、企業や研究所も多いのが特徴です。バイオテック、ロボテック、ビッグデータ、人工知能、サイバーセキュリティなどの産業が強く、全米でも平均所得が高い州として常に上位をキープしています。

 

また、人口当たりのベンチャー投資額が全米一高く、オープンイノベーションによって共同研究や共同開発が非常に多くあります。日本のようなクローズドイノベーションと言われる、秘密に開発を進めるのとは違い、企業同士の強みが合理的にいかされています。それによって、経済や社会に大きく影響するほどの変革を次々と起こしてきている発祥の場所でもあるのです。

 

ここでびっくりしたのが、ボストンの未就学児を預かってくれるディケアの毎月の保育料が$4,000だそうで、ハワイの高さの比ではありません。私立の学校の授業料も年間$40,000とハワイと比べるとかなり高額です。教育に価値を置いている地域だからこそ教師の質も給料も高くなりそうで、これがボストンのスタンダードなのでしょう。

 

「なぜこんなに払えるのか?」と疑問や不満を持つのではなく、子ども達のイノベーションの可能性を感じて投資するのです。また教育費が高いことに対して、教育が自分の子どものためにだけあるのではなく、オープンイノベーションによって、他の才能のある子ども達のため、社会への貢献になることも知っているのです。

 

 


イゲット千恵子

オアフ在住、日米で会社経営&作家 2017年に「経営者を育てるハワイの親 労働者を育てる日本の親」を出版し、日米の教育の違いによるビジネスマンの仕上がりの違いを書いた本が話題となる。日米での事業は、グリーンスパハワイ、通販事業、スクール、教育事業、ハワイ教育移住、執筆、講演、セミナーなど、詳しくは、chiekoegged.com


 

 

(日刊サン 2019.09.06)