シアトル遠征時にイチロー選手と談笑する大谷選手(2018年)
まだまだ雪に見舞われる地域も多いアメリカですが、アリゾナとフロリダではメジャーリーグの春季キャンプが始まっています。昨年のキャンプはベーブ・ルース以来の本格的二刀流選手として大谷翔平選手が加入したロサンゼルス・エンゼルスが大注目を浴び、今年はその大谷選手の花巻東高校の先輩にあたる菊池雄星投手が加入したシアトル・マリナーズが脚光を浴びています。
アメリカ4大プロスポーツ最長の17年連続でプレーオフから遠ざかっているマリナーズは今オフ、36歳の二塁手ロビンソン・カノ、昨季セーブ王のエドウィン・ディアス、昨季ノーヒットノーラン達成のジェームス・パクストンなどの主力選手を放出し、チーム大改造を行っています。
2020年のワールドシリーズ優勝に焦点を合わせ、その時点で能力がピークに達する選手を優先。今年6月に28歳の誕生日を迎える菊池投手は、そんなチームの構想にぴったりだとみなされています。
子供の頃からメジャー入りを目指してきた菊池投手は、入団記者会見で堪能な英語を披露し、地元ファンの評判は上々です。菊池投手の影響を受けてか、昨季の新人王授賞式で大谷選手も英語でスピーチを行い、今年の春季キャンプからシカゴ・カブスのダルビッシュ有投手も英語でインタビューに応じています。
26日のシンシナティ・レッズ戦でオープン戦デビューした菊池投手は2回を投げ、1安打2失点(自責点0)1四球1奪三振。一塁手ジョーイ・ボットや外野手ヤシエル・プイグといった強打者を無安打に抑え、好感触を得たようです。
しかし、昨季メジャーデビューした大谷選手と同様に、メジャーの公式球とアリゾナの乾燥した空気に慣れず、決め球のスライダーが思うように投げられていないと明かしています。アリゾナで投げるのはキャンプ中のみ。
アリゾナで完璧に調整してしまうと、シアトルへ戻った時に再調整が必要になってしまうため、その辺のさじ加減を見極めるのが初年度は大変かもしれません。 マリナーズでは憧れのイチロー選手と同じチームでプレーすることになります。
イチロー選手は昨年5月上旬にチームの会長付特別補佐となり、試合に出場できない立場となりましたが、マイナー契約で選手の立場に戻った現在は、他のベテラン選手と同様に、主にピオリアのホーム球場開催のオープン戦に出場中です。
キャンプ開始早々の打撃練習で右足最下部に死球を受けるアクシデントもありましたが、大事には至らず、27日の試合終了時点で4試合に出場。8打数1安打の打率1割2分5厘ながら、2打点と1盗塁を記録しています。「少なくとも50歳までは現役」の目標を達成するには、これから打率を上げていきたいところです。
先輩・後輩対決は5月に実現?
去年の10月に右肘の靭帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)を受けた大谷選手は、5月の戦線復帰が予想されています。アリゾナで行われているチームのキャンプに合流していますが、別メニューの練習をこなし、オープン戦には出場せず。
故障者リスト入りで開幕を迎え、マイナーリーグの試合にリハビリ出場せずにメジャー復帰の予定です。 高校の先輩である菊池投手が所属するマリナーズとの対戦は合計19試合。前半に集中しており、13試合がオールスター戦前に行われます。
順調なら復帰となるはずの5月は30日からホームで2連戦。6月1日からはシアトルで2連戦。6月7日からは再びホームで3連戦が予定されています。7月は12日からホームで、19日からアウェーでそれぞれ3連戦が組まれ、今季の対マリナーズ戦は終了です。観戦計画を立てるなら、お早めに。
新監督を迎えたエンゼルス
大谷選手が所属するエンゼルスは、昨季終了後にマイク・ソーシア監督が退任し、ブラッド・オースマス監督が就任しました。ソーシア監督は2000年から19年間エンゼルスを率い、2002年にはチーム史上唯一のワールドシリーズ優勝を遂げました。
それ以後も2009年までの7年間に5回チームをプレーオフへ導きましたが、2010年以降は低迷し、9年間でプレーオフへ勝ち進めたのは2014年のみ。ここ数年間、チームがプレーオフを逃す度に監督の解任がささやかれてきましたが、今オフは遂にそれが現実となりました。
太鼓腹が立派なソーシア監督ですが、11月に60歳になったばかり。昨季カブスのジョー・マドン監督(65歳)やサンフランシスコ・ジャイアンツのブルース・ボウチー監督(63歳)よりも若く、まだ監督を続けたいと明かしています。
しかし、近年の新監督は40歳台の若手がほとんど。ミネソタ・ツインズなどは今季、メジャー最年少となる37歳のロッコ・バルデリを新監督に迎えています。 オースマス監督は今年4月に50歳になります。2014年にデトロイト・タイガースの監督に抜擢され、メジャー監督デビュー。
当時のタイガースは主砲ミゲル・カブレラに加え、サイ・ヤング受賞右腕ジャスティン・バーランダー(現ヒューストン・アストロズ)も擁していましたが、プレーオフに出場できたのは前監督からチームを引き継いだ初年度のみ。2017年に64勝98敗でア・リーグ最下位に終わると、退団を強いられ、2018年はエンゼルスでビリー・エプラーGMの特別補佐を務めていました。