ハワイの教育コラム|イゲット千恵子の子供をビジネス脳にする
Vol. 15 子どものためのビジネススクール
毎年、夏休みと春休みに日本で子どもにビジネスを教えるCEOキッズアカデミーというビジネスプログラムを開催しています。全国各地から親子連れで参加されるのですが、今年はお盆時期の開催ということもあり、お父さんの参加が非常に多くいました。お父さん達も副業の準備なのか、子ども達よりも真剣に取り組んでいました。
参加者の子ども達の中には受験生もいて、「勉強することの意味がビジネスの世界でどのように役立つのかを知ってから受験に備えたい」と言って、これから5Gの世界のビジネスを学んでいきました。
算数が苦手な子には、「計算はソフトがしてくれるので問題ないですが、ビジネス上では、数学ができないと人にちょろまかされたり、騙されやすくなったりします」と言うと、親は苦笑していました。
英語が好きではない子には「日本語しかできないと、全世界のネット情報量のうち、たった3%しか読めないことになります。情報量が圧倒的に少なく、ビジネス上で有益となるビッグデータを活用することができず、検証や決定のスピードが落ちるので不利ですよ」と伝えます。
だからといって、全てを満遍なくできるようにする必要はありません。得意なところを自分がやって、苦手なところを誰かにお願いするということで時間と役割と効率についても教えていきます。
授業中に、びっくりしたことがありました。日本で大流行中のタピオカドリンクを、みんなで作る課題をやってみたときのことです。カップにタピオカを入れる作業を、一人一粒ずつ、みんなで順番にスプーンを回してカップに入れていたので、 「おいおい、そんなやり方だと、お客様にドリンクを出すまでに何分もかかるし、やった人全員に時給を支払わなくちゃいけないので、お店は即、潰れちゃうよ〜」と注意したのです。
日本の教育では、運動会も手をつないでゴールするという、みんな平等に作業するという習慣がありますが、手の早い子がさっさとやると、“ずるい”ということになるようです。できない子のレベルに合わせて、みんなで作業をやらせる国なのだ、と改めて思い、「時間がかかる人を雇うくらいなら、機械を導入する方が安くつきます」と教えました。
「みんながアルバイトする時は、自分の仕事が機械やAIがやった方がいいと思うような仕事はしないように。どういう人を雇いたいかという、経営者側の気持ちになって仕事をすると、この子はいい仕事するから時給あげてあげようって思ってもらえるよ」 と伝えると、時給はみんな一律だと思っていたようで驚いていました。大丈夫かジャパン!
イゲット千恵子
オアフ在住、日米で会社経営&作家 2017年に「経営者を育てるハワイの親 労働者を育てる日本の親」を出版し、日米の教育の違いによるビジネスマンの仕上がりの違いを書いた本が話題となる。日米での事業は、グリーンスパハワイ、通販事業、スクール、教育事業、ハワイ教育移住、執筆、講演、セミナーなど、詳しくは、chiekoegged.com
(日刊サン 2019.08.23)