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楽しい食生活と 魅力的な笑顔をキープ!歯の健康と豆知識

Bynikkansan

1月 8, 2019

私たちの身体の器官の中で最も硬い歯。毎日の食事で無意識に使っていますが、咀嚼して身体に取り込む際、1番最初に使う大切な部分です。食べ物を噛み砕くほか、発音を助けたり、顔の形を整えたりという役割もあります。歯の本数は上下合わせて28本ですが、そのうちの1本が失われただけでも、食べ物を正しく噛み砕くことができなくなるということをご存知でしょうか。今回の健康特集では、私たちの日常生活で大事な役割を担っている歯の構造や健康を保つ方法、歯に関するトリビアなどをご紹介しましょう。

 

 

構 造

歯は、エナメル質、象牙質、セメント質、歯髄の4つの部位から構成されています。

 

エナメル質  

歯の一番外の層にあり、生体で最も硬い硬組織です。エナメル質の96%は無機質で、残りの4%は水と有機質でできています。モース硬度は6〜7で、水晶と同じくらいの硬さです。無機質は大部分がリン酸カルシウムの結晶で、ほかに炭酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、フッ素、ナトリウム、クロム、マグネシウム、亜鉛、鉛、銅、鉄、スズ、コバルト、ストロンチウム、マンガン、アルミニウム、ケイ素、銀など、およそ40種類の微少元素が含まれています。この微少元素の割合は、エナメル質の厚さ、年齢、地理的条件などによって違ってきます。

 

 

象牙質  

エナメル質、セメント質、歯髄の間にある硬組織で、歯の主体となる部分です。「象牙芽細胞」と呼ばれる細胞で作られています。エナメル質より柔らかく、モース硬度は5~6。一旦虫歯が象牙質まで達すると、急速に進行してしまいます。

 

象牙質の70%が「ヒドロキシアパタイト」という無機質で、20%がコラーゲン繊維とタンパク質、残り10%が水分でできています。この象牙質全体には「象牙細管」という管が走っています。直径0.8~2.2μm(マイクロメートル)という微細な管は、象牙質の形成と維持を担っています。

 

 

セメント質  

歯の根の部分にある象牙質の外側を覆う硬組織です。骨と歯の根の部分をつなぎ合わせる役割を担っています。60%がヒドロキシアパタイト、25%の大部分がI型コラーゲン、15%が水分でできています。 歯髄  歯の内部にある線維状の組織。歯の神経です。

 

 

歯のトリビア①
上の前歯がなくなるとサ行の発音が、奥歯が抜けるとハ行、ラ行の発音が難しくなります。

 

 

種類と役割

「大人の歯」と呼ばれる永久歯は6歳ごろから生え始め、大まかに切歯・犬歯(前歯)小臼歯・大臼歯(奥歯)の4種類に分けられます。本数は上下合わせて28本。親知らずを入れると32本になります。  

 

口を開けて鏡を見ると色々な形や大きさの歯があることがわかりますが、歯ごとに異なる機能を持っています。前歯の切歯(せっし)と犬歯はものを噛み切るほか、あごを動かすときのガイドの役割を担っています。奥歯の小臼歯と大臼歯は、前歯で噛み切った食べ物をすり潰して飲み込みやすいようにするほか、噛み合わせのの基準点になり、下顎を安定させる働きがあります。

 

 

歯のトリビア②
男性の犬歯は女性よりも平均約6%大きく鋭くなっています。また、犬歯は他の歯に比べて根が深く頑丈です。

 

 

虫歯はどうしてできる?

虫歯は、口の中が「酸性」になった時にできやすくなります。本来、口の中は唾液によって「中性」に保たれています。しかし、ものを食べた後、食べ物の中に含まれる炭水化物が細菌によって分解され、酸性に傾きます。歯垢も酸性になり、歯のエナメル質に含まれるカルシウムイオンやリン酸イオンなどが溶け出し、最終的に虫歯になってしまいます。  

 

私たちが食べたり飲んだりするすべてのものが細菌の餌になってしまうのですが、その中で最も虫歯のリスクを高めるのは砂糖。よく「甘いものを食べると虫歯になる」と言われるのはこのためです。  

 

そんな虫歯を防ぐために大きな働きをしているのが唾液です。唾液は、虫歯や歯周病の原因となる細菌を胃に流したり、飲食で酸性に傾いた口内を中性に戻す役割を担っています。飲食後一定の時間が経過すると、唾液の働きで口内が再び中性になり、酸で溶け出した歯のエナメル質は再石灰化して元の状態に戻ります。

 

 

 

虫歯を防ぐ成分

 

フッ化物  

歯磨き粉に含まれているフッ化物は、歯の再石灰化を促進し、エナメル質の耐酸性を向上させます。低濃度のフッ化物入り歯磨き粉を毎日使うと、虫歯の発生率を50%減少させるといわれています。

 

キシリトール  

ガムなどに含まれるキシリトールは、虫歯菌が代謝できない甘味料です。虫歯菌の活動を阻害し、歯の再石灰化を促進します。また、ガムを噛むと唾液の分泌が促されて口内が中性に保たれるため、虫歯予防の一助としてキシリトール入りのガムを噛むのもお勧めです。

 

 

歯のトリビア③
人間の口の中に存在する虫歯菌は「ストレプトコッカス・ミュータンス」と「ストレプトコッカス・ソブリヌス」という2種類があります。

 

 

歯周病とは

日本の厚生労働省が奨励する口腔ケア「8020運動」は、「80歳で自分の歯を20本以上保とう」というものです。20本というのは、入れ歯なしでものを食べられる目安の本数。現在、80歳日本人の50%が20本以上の自歯を保っていますが、一方で、日本の大人の80%が歯周病を患っていると言われています。  

 

歯周病とは、口の中で繁殖した細菌が歯ぐきを炎症させる病気です。初期は自覚症状がなく、悪化すると歯ぐきの外にも炎症が広がり、最後には歯が抜けてしまいます。最悪の場合、全身に影響を及ぼし、脳梗塞や心筋梗塞など、脳や心臓の病気になるリスクを高める場合もあるので注意が必要です。

 

 

正しい歯磨きで虫歯と歯周病を予防

歯周病と虫歯を予防するには、歯を正しく磨くことが何より大切です。歯磨きは、回数ではなく質。「1日に何回磨くか」よりも、「歯垢がしっかり取れているかどうか」がポイントです。特に就寝前の歯磨きは重要です。  

 

人間は、起きている間は1日に2千回ほど唾液を飲み込んでいます。しかし寝ている間はそれが20回に減るため、口の中の細菌が増殖。その際に歯垢が残っていると、虫歯や歯周病にかかりやすくなります。寝る前は必ず歯を磨き、就寝中の細菌の増殖を抑えましょう。

 

正しい磨き方

1)口の中をゆすぐ。

2)歯ブラシを鉛筆を持つような感じで軽く持つ。

3)歯ブラシの表面を歯に当て、1箇所につき20〜25回動かし、磨いていく。歯ぐきに近いところは歯ぐきに配して45℃の角度で歯ブラシを当てながら磨く。

4)歯ブラシが届かない奥歯や歯並びの悪いところは、極小ヘッドの歯ブラシを使う。

5)口をゆすぐ。

6)フロスなどで歯の間の歯垢を除去。

7)再度口をゆすいで終了。

 

 

歯のトリビア④
大臼歯が1本なくなると、食べ物を噛み砕く能率が約40%下がると言われています。

 

 

コラム 歯ごたえのお話

食べ物の美味しさは、味はもちろん、歯ごたえでも感じることができます。「歯ごたえ」という感覚は、歯そのものの感覚、そして噛むための筋肉である咀嚼筋の感覚から成り立っています。 この場合の歯の感覚とは、歯の根の周りを覆う歯根膜が圧力を感じるときの感覚です。咀嚼筋の感覚は、あごを動かす筋肉が感じる感覚のこと。  

 

この筋肉の感覚はとても敏感です。例えば、麺類では「こし」が大事と言われますが、ラーメンなどの麺が歯に当たると、歯根膜が咀嚼筋にかかる力を知覚します。その情報が大脳に送られて判断され、「こし」があることがわかると考えられています。