日刊サンWEB

過去記事サイト

アロハ! 田中徹也です。今回も日本の不動産売却についてのノウハウをお話しします。

 昔日本のドラマで、借金をしているところへ怖い人が来て「おい! 借金返せないなら家の権利証をもっていくぞ!!」なんてシーンがありました。

 

最近では見なくなりましたが、なんとなく日本の不動産において「『権利証』というものが大事」というイメージが残っています。  

 

そもそも権利証とはなんなのでしょう? 権利証とは「登記済権利証」が正式な名称です。日本では、不動産の所有者が誰かとか、担保がついているとか、相続されたという事実を「登記」という形で記録しています。

 

例えば家を買えば、その家の登記簿に「●年●月●日に売買を原因にAさんに所有権が移転した」というような記録が残ります。その記録をすることを「登記する」といい、その登記があったことの証明として「登記済権利証」があるのです。  

 

しかし、実は現在の日本において権利証はもうありません。今は「登記識別情報(以下識別情報)」というものに変わっています。2005年に法律が変わり、それ以降徐々に権利証から登記識別情報に変わっています。ここでは、あえて登記識別情報についての説明はしませんが「権利証に変わるもの」と覚えておいてください。  

 

そして本題ですが、不動産を売る場合にはこの権利証または識別情報が必要です。なぜなら、それが「真の不動産の所有者である」と証明する1つの手段だからです。  

 

しかし相続物件などでは、権利証や識別情報を紛失している場合が実は多々あります。では、紛失した場合その不動産を売ることができるのでしょうか?  

 

結論からいいますと、売ることはできます。しかし、ハワイにいる方の場合はちょっと面倒な手続きとなります。それは「司法書士の面談による本人確認を、権利証や識別情報があることに変える」という部分です。司法書士とは、日本の不動産登記移転をする専門家です。ハワイでいうとエスクロー業務の一部ですね。  

 

今売ろうとしているあなたが、本当にその人物なのかを司法書士が面談して証明します。ですから、ハワイにお住いの場合でも権利証や識別情報がない場合は日本に一度来て司法書士による本人確認をする必要があります。  

 

しかしそれよりもひと手間掛かるのが相続した不動産で「相続の登記」をしていない場合です。  

 

 

次回は相続した不動産を売るときの注意についてお話しします。

 

 


田中徹也

株式会社ユービーエル 代表取締役

20年以上地元神戸で不動産仲介業務をおこなう。 全国を対象とした不動産売却のコンサルティングも行う。 ハワイ好きで、毎年ホノルルマラソンにも参加。

【メール】 [email protected]

【WEB】 https://www.e-ubl.co.jp/hj/


 

 

 

(日刊サン 2019.08.20)