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【インタビュー輝く人】カザマ・エンタープライズ社長 ウォーリー・カザマさん

Bynikkansan

11月 23, 2013

11月16日に、アイエアの人々に愛され続けてきたワイマル・ショッピング・センターが50周年を迎え、盛大なお祝いが行われました。そのショッピングセンターのオーナーであるカザマ・エンタープライズは、ハワイで成功した日経ファミリービジネスを代表する存在です。一家のビジネス指揮をとるウォーリー・カザマさんにお話を伺いました。

ライター:下吉 陽子

 

 

「勤勉と謙虚」、「家族を大切に」がカザマ・ファミリーのプライド

 

家族が力を合わせて続けてきたファミリ ービジネス

ーワイマル・ショッピング・センター50 周年、おめでとうこざいます。

ありがとうこざいます。実は、50周年 を迎えるにあたり、カザマ家の歴史のビ デオを見てみました。これは1999年に 出来ていたのですが、父が生きている間は、見る必要を全然感じなかったのです。改めて感慨を新たにしました。

 

ワイマル・ショッピング・ センターは、この辺りにできた最初のショッピングセン です。そもそもここにショッピングセンターを作ろうとしたのは、ここでクリスマスツリーがよく売れたからです。それを見て、父は、ショッピングセンターに向いていると思ったのですね。

 

近くにパールリッジ・ショッピングセンターが開いた時は、ここはもうダメだから売らないかという話も沢山いただきました。でも実際にはパールリッジができたので、沢山の人が来るようになり、ビジネスがますますよくなったのです。別のセンタ ーが出来たときも、ビジネスは向上しました。

 

 

ー長続きの秘訣は何でしょうか。

土地も建物も自分達で所有していることが強みです。ですから、誰からも追い出 されない。土地を持っていることで、テナントとの関係も良好に保つことができます。

 

インベスターとの関係などの制約がないので、融通が利くし、テナントが困っているときは、助けてあげることもできるのです。タイミングもよかったのだと思います。買いたいというオフアーはしよっちゅう来ますが、売るつもりはありませ ん。

 

ここは最も見栄えのいいショッピングセンターではないかもしれませんが、来 年は大々的に改装工事を行う予定です。

 

 

-お父さまは大変な働き者であったと 伺いました。

父は、英語もビジョンでしたし、高等教育も受けていませんでしたが、アイビーリーグを出たような、どんな高い地位の人とも、堂々と商談が出来る人でした。

 

最初は英語も話せず、雇ってくれるところを探しまわった末に、ようやくアイエアの砂糖会社が雇ってくれたのです。祖父母と同じようにプランテーションで働いて、苦労しただろうと思います。ですから庶民的でした。

 

そのうちゆとりができても、当時もてはやされていたキャデラックのような車には乗らず、オールズモービルに乗っていました。それを受け継いだのか、私も高価な車には興味がなく、ケータリングも手伝えるように、フォードのバンに乗っています。

 

その前の車は、白いシボレーで、仕事に使いやすいよう、窓も後部座席もなく、カセットもCDもついていないシンプルなものでした。よく成 功してお金が出来ると、高級住宅地に家 を買って、高価な車を買って、そのうち破産するというのもよくありますが、私も父も破産したことはありません。

 

1963年11月、ワイマル・ショッピン グ・センターがオープンし、祝賀会が行 なわれた

 

-ファミリービジネスですね。

カザマ・ エンタープライズは、父の勝美が始めたのですが、現在は私と子ども4人のうち3人が参加して家業を続けています。

 

業種は、歌舞伎レストランのほか、アイエア・ メディカル・ ビルディングをはじめとする不動産賃貸管理、旅行代理店、さらにミネソタ、サウスカロライナでもビジネスをしています。最近は、歌舞伎ソースの製造販売、ソーラーPVのユーティリティ・ビジネスも行なっています。

 

 

-ご家族で分担がおありになる?

アイエアのレストランは姉が経営していますが、長男がカピオラニ店を経営しています。次女は物件のプロパティーマ ネージメント、次男は歌舞伎ソースの製造とソーラー PVビジネスをやっています。

 

長女は教職についていて、今はカウンセラ一をしていますが、彼女には、「ビジネスを手伝わなければというプレッシャーを感じる必要はない」と言っています。

 

 

ーどのようにして家業を受け継ぐことに なったのですか?

私が子供の頃は、両親はスーパーマーケットをやっていて、12歳の時から手伝い始めました。ウィークデーは学校があったので、毎週日曜日になると、朝早く父と一緒に店に行って開店の準備、配達されるパンを受け取って、1時間か2時間ほど店番をしていました。

 

そのうち母が見せにくると、今度は父と一緒に家 に帰り、そこで朝食を作っていました。両親は鶏を育てていて、その世話もしていました。何と、24羽もいたのです。

 


“JUST DO IT.”が基本姿勢

-遊び盛りによく働かれましたね。

私にとっては、働くことはなんでもありませんでした。ナイキというスポ一ツメー カーのコマーシャルで、”JUST DO IT.”というのがありますが、まさにあれです。

 

そうやって手伝っていたので、いつの間に か、家業を継ぐのは当たり前だと感じていました。我が家では、金曜日の夜7時に 家族で食事が出来ればラッキーという感じで、早朝から深夜まで、よく働きました。

 

 

ービジネスのノウハウは、働きながら学 ばれたのですか?

そうですね。一生懸命働きながら、様々 なことを学びました。財務もみていたし、 30才そこそこで、既に銀行との交渉も任 されていました。今は年をとりましたが、当時はどこに行っても私が一番の若造でした。

 

それでも取引先とは、よい関係づくりが出来ました。今でも銀行とは、とてもいい関係で、いつも協力してくれます。

 

 

一お子さまはどのようにしてビジネスに 誘われたのですか。

子ども達や従業員も、みんなそれぞれのやり方があるので、それを尊重するようにしています。彼等にはいつも、「私のために働くのではなく、私と一緒に働こう」と言っています。

 

4人の子どものうち、今は3人が家業に関わっていますが、学校を出た後は、みんな最初は外で働くように言いました。そのあとで、自分達から進んでファミリービジネスに戻ってきたのです。強制はしたくなかったのです。

 

 

ーショッピングセンターはもちろん、他のビジネスでも大きな成功を収められました。

ご存知のように、ビジネスは父が始めたもので、私はあとから加わったのです。父と一緒に仕事をして、父のやり方を見習った方がいいと思ったことも、父とは別の方法をとったほうがいいと思ったこともあります。

 

性格が違うんですね。父は山から一気に飛び降りることをためらわない人でしたが、ずっと運に恵まれていました。私は結構調べてから前に進む夕 イプです。運に頼りすぎると、いずれ運が尽きるのではないかと。

 

 

ーどんなことを心がけておられますか?

うまく行っているときもありますが、うまく行かないときは、立ち止まって考えるようにしています。やはり、世界で起こっていることを、常に理解していることが大切です。

 

ですから毎日新聞をよく読 んで、どこで何が起こっているか、これからの社会がどう変わりそうかについて勉強しています。例えば、日本では女性が あまり早く結婚しなくなったし、人口も減少しつつある。人々の価値観も変化していますから、それらもよく見極めようとしています。

 

 

ーこれからどんな分野を考えておられ ますか。

これからは、ソーラービジネスと歌舞伎ソースに将来性があると思っています。特に、ソーラーのユーティリティ・ビジネスは売り上げが確実に確保できるし、タックスクレジットもあるので、大変有望です。歌舞伎ソースも、ただ瓶入りだけではなく、エベレストに登っても水に解かして使えるようなものも開発したいと思っています。

 

奥様のDianeさんと

家族を大切に。勤勉、謙虚、フェアであれ

ービジネスで大切に思っておられることは?

なんといっても家族を大切にすること。従業員もみんな、一緒に働いてくれている人は、子ども達も一緒に育ちましたから、家族と同じです。みんなが幸せになるようにしたいです。

 

 

ー地域社会への貢献活動も活発にされ ていると伺いました。

どんなお金持ちでも、ほかの人の助けがあったから成功できたということを忘れてはならないと思います。ですから教会など、あちこちに小口で寄付をしています。たとえばハリー&ワインバーグ財団などは、高額の寄付をして、名前を冠した建物が沢山あります。私は名前を出してもらう必要はないですが、いつか財団を作って、地域社会にさらに貢献できればと思っています。

 

 

ー旅行もよく行かれるのですか。

スーパーをやっていた頃は、店を離れることは難しかったのですが、1978年 に最後のスーパーを処分してからは、大 分時間が自由になりました。そこで人生が変わったといってもいいと思います。

 

旅行代理店もやっていますので、無料で あちこちに行ける招待を受けたりもして、中東、東南アジア、ヨ ーロッパなど、世界あち こちを回っています。今は インターネットがありますから、世界中どこ にいても、仕事ができます。

 

 

-趣味は何ですか。

趣味はテニスで、毎週3回はテニスを しています。それと、庭仕事も大好きなん です。フィットネスセンターで汗を流す人もいるけど、私は庭仕事で汗を流しています。オレンジ、アボカドなど、色々な植物を育てるのはとても楽しいです。

 

読書も好きです。図書館や本屋にもよく行きます。あと、孫からは「グランパはテレビが好きだ」と言われますが、実は、情報を得るために見ているのです。ですからフットボールも野球も、そんなに長時間は見ません。逆にニュースやドキュ メンタリーは好きです。

 

 

-今、いちばんの楽しみは何でしょう。

来月は、家族みんなを連れて、ヒルトン・ワイコロアに行く予定です。孫を含めると19人いますが、今回は17人です。来 年は日本に行って、父母の故郷である新潟にも行ってみたいと思います。息子一 家はディズニーランドを楽しみにしているようです。

 

 

ーカザマ家の家訓のようなものはあり ますか。

「家族の誇りを大切に」という、かつての日本の価値観を引き継いでいるように 思います。例えば新聞に載るような悪いことをしたら、カザマ家の誇りを傷つけるから、そのようなことはするなという気持ちはあります。

 

私自身は、何といっても 「家族を大切にすること、勤勉、謙虚、そしてフェアであれ」ということでしょうか。