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ハワイ最後のサトウキビ プランテーション閉鎖

Bynikkansan

1月 16, 2016

ハワイ最後のサトウキビプランテーションが、今年末に閉鎖すると6日に発表があった。  アレクサンダー&ボールドウィン(A&B)は、今後12ヶ月かけてハワイ・コマーシャル&シュガーカンパニー(HC&S)のサトウキビ農園を、段階的に撤退させ、3万6千エーカーの農園を複合農作物モデルへと変遷していくと発表。

 

3月から多くの従業員が農園の特定の機能が終了するごとに解雇されるが、675人いる従業員のほぼ半数が、今年後期の最後の収穫が終わるまで会社に残ることになるとA&Bは話している。  ハワイ・コマーシャル&シュガーカンパニーが昨年3,000万ドルの損失をだしたことが決定打となり、会社の重役たちは、「痛恨」の思いで今回の結論に達したと語る。

 

「我が社にとっても悲しい日となります」とA&Bの社長兼チーフ・エグゼクティブで、2009年から2011年にかけてHC&Sでジェネラルマネージャーも務めたクリス・ベンジャミン氏。

A&Bは、サトウキビ栽培を行っていたプロテスタントの宣教師の子孫によって145年前に創設された。同社は現在、不動産業に専念している。

砂糖とパイナップルのプランテーションは、大地主によって経営され、一時期はハワイの主要産業の一つだった。特に砂糖産業は、ハワイがまだ王国であった時代の1876年以降からアメリカに日用品を無税で輸出できたため、非常に上手くいっていた。

 

プランテーションの所有者たちは、ハワイ王国が滅亡し、合衆国に併合された後も、ハワイ統治において重要な役割を果たした。ジェット機が飛ぶようになり、西海岸からの飛行時間が短くなり観光ブームが起こるまで、プランテーションは島の経済の中心であった。

 

プランテーションは、中国、日本、韓国、ポルトガルなどからの移民を引きつけ、今日みられる民族の多様性をハワイにもたらした。

 

A&Bには、大規模な土地の売却計画はないため、過去に行ったように小規模な区画ごとの売却になるとみられる。敷地の全てが農業地に指定されており、A&Bはそれを保持する見込みだ。

 

どんな作物をこの土地で育てるかはまだ未定だとベンジャミン氏はインタビューに答えている。プランテーションが実施した研究試験によって、今後モロコシや他の草の栽培が有望視されており、もし成功すれば、これらの植物は、ハワイのエネルギーと食料自給率を高めるのに役立つかもしれないと語った。

 

ブライアン・シャッツ議員は、今回のニュースに極めて遺憾であるとし、「130年以上にも亘ってマウイ島の砂糖産業は、単なるビジネスを超えて、生活の糧となり、ハワイを偉大で素晴らしい州にしてくれた多くの勤勉な人々を生み出したのです」と述べた。

 

マウイ市長のアラン・アラカワ氏は、職を失う方々に対し遺憾の意を表した後で、このような変化は避けがたいことであるとし、「果物の木、タロ、バイオマス、パパイヤ、アボカドなど多くの木々が試用テストで適合を示しており、サトウキビの栽培はなくなっても、今後もここで農業を続けていく自信ができた」と話した。

 

ベンジャミン氏によると、会社は充実した手当を支給するとともに、解雇後も定年退職するか、または新たな雇用先を斡旋するなどで個別に支援していくという。