ハワイでのバケーション・レンタル利用者はあまり支出しない。
−ハワイ州観光局(HTA)の最新のデータによると、訪問者数は2017年2月から連続で増えているが、訪問者支出は昨年11月から毎月減少していることが分かった。HTA会長兼CEOのクリス・テイタム氏は、バケレン利用の増加が、訪問者の支出を減少させていると述べた。 2018年、ハワイを訪れたらホテルに滞在すると答えた訪問者は590万人以上で、 2017年から3%以上の増加したが、一方、バケレンに滞在すると答えた訪問者は、2017年から24%増加して94万9516人になった。
ベッド・アンド・ブレックファースト(B&B)に滞在すると答えた人は、39%増の4万9054人で、明らかにバケレン利用者の伸びがホテル利用者の伸びよりも大きい。 2018年のHTAのデータによると、一般的なホテルの宿泊客の1日あたりの支出額は115ドルだが、バケレン利用者は85ドル、B&B利用者は77ドル。ホテル代を含む総支出額では、2018年のホテル宿泊者は1日当たり234ドル、B&B利用者は186ドルでホテル宿泊客より21%少なく、バケレン利用者は179ドル(ホテル宿泊者より24%低い)で、ホテルやB&B利用者よりも少ない。これは、ホテルやキッチンのないB&B利用者は、外食することが多く、バケレンや他の代替宿泊施設利用者は自炊する傾向が強いからと考えられる。
バケレンを支持する地元住民は、バケレンの増加が部屋の需要を満たし、観光業の成長を助け、住宅所有者が自分の不動産を有効利用できる、と主張している。反対派は、公共サービスの低下、ビーチや公園の混雑、地域住民用の手頃な価格の賃貸物件の不足、等が悪化し、代替宿泊施設が住宅地に増え、住宅地の公共インフラや資源への負担が増加している、と懸念している。 州上院は今年、Airbnbのようなバケレン仲介業者に、バケレン運営者を代行して税金を徴収し支払うことを義務付ける法案を可決した。
イゲ知事は6月24日までに同法案に対する最終判断をするが、施行されれば、州にとって数百万ドルの歳入増に繋がる。 しかし反対派は、各郡のゾーニング規制が難しくなると懸念する。オアフ島での事態はさらに複雑になっている。オアフ島でのバケレン認可は1989年から停止されているが、認められているリゾート地以外では6千~8千の違法バケレンがあると推定されている。 ホノルル市議会ゾーニング・都市計画・住宅委員会は6月7日、オアフ島で1,715件のホスト型バケレン(物件の所有者もしくは運営者が同居している物件)を新たに承認し、一軒家を丸ごと賃貸するトランジエント・バケーション・ユニット(TVU)は認可しないとする法案を承認した。また、違法バケレンを徹底的に取締る別の法案を継続審議とした。どちらかの法案が承認されても、オアフ島のバケレン業界に深刻な影響を及ぼす。
2016年のHTAの調査によると、代替宿泊施設の選択肢がなければ、ハワイ旅行は実現しなかったと回答した人は全体の15%だった。別の調査は、リゾート地区以外の代替宿泊施設がなければ、オアフ島では最大3億3600万ドルの世帯収入、7千人の雇用、12億ドルの経済活動が失われると予想している。
<写真クレジット>
Hawaii Tourism Authority (HTA) / Daeja Fallas
(日刊サン 2019.06.22)