5月20日に発表されたハワイ州観光局のハワイ・ホテル業績報告書によると、4月のハワイのホテルの平均宿泊料金(ADR)は上昇したが、稼働率と1部屋あたりの平均売上高(RevPAR)は減少した。
平均宿泊料金は前年同月比2%以上増加し275ドルになり、稼働率は3%近く低下し78.4%となり、RevPAR(客室売上を販売可能な客室数で割った値)は0.9%減の215ドルとなった。州のホテル業界総売上高も2%以上減少し3億4千900万ドルとなった。 いくつかのホテルが改装工事のため閉鎖されていたとはいえ、4月のホテル需要が減少したことは否定できない。
ホスピタリティ・アドバイサーズ社のジョセフ・トイ社長は、宿泊料金の上昇が稼働率の低下を相殺出来ておらず、ホテル市場の軟化を示している、と述べた。また、ハワイと日本での自然災害、キラウエア火山の長期噴火、オアフ島とマウイ島での51日間のホテル・ストライキ、連邦政府機関の閉鎖、消費者の買い控え、等の昨年の問題がいまだに影響を与えていると考えられる、と付言した。
KV&アソシエイツ・ホスピタリティ・コンサルティングのキース・ヴィエイラ社長は、バケーション・レンタルの普及もホテル需要の軟化に影響していると述べた。ホテルは、いまだに最大の宿泊施設であるが、バケーション・レンタルの伸びが11%を示していることに注目すべきで、今後もバケレンへの需要は増え続けるであろうと語った。
今年の1-4月の実績(前年同期比)を見ると、稼働率は3ポイント近く減少し80.2%となり、平均宿泊料金はほぼ横ばいの286ドル、RevPARは約3%減の230ドルとなった。総売上高は4%減の15億ドル弱になった。
ハワイ・ロッジング&ツーリズム協会のムフィ・ハネマン会長兼CEOは、「マウイ島の業績だけが、順調に推移している。オアフ島をはじめ他の地域の動きは相変わらず軟調である」と述べた。 ハネマン氏は、ホノルル市議会に対し、6月5日に裁決予定のオアフ島のホテル・リゾート税引上げ法案を否決するように強く求めている。この法案は、同税を「現在の査定額1,000ドル当たり12.90ドル」から「査定額1,000ドル当たり13.90ドル」へ1ドル引き上げるものである。
同氏は、「ホテル業界には色々な問題がある。ホテル業界の業績は低迷しており、経費は上がっている。京屋ホテルズ&リゾーツは、昨年新しい労働協約を締結して以来、コストが20%以上上昇した。他のホテルでは労使交渉が続いており、これらのホテルでも労務費が上昇することになる。今は、繁栄の時代ではない」と語った。
(日刊サン 2019.06.01)