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「癒しのハープ」とよく言われることがありますが、医学・科学・心理などと非常に関わりがあります。

 

何かの「音」によって心が癒されて気持ちが穏やかになったり、いつもより集中して物事に取り組めたり、ひらめいたり、よく眠れたなどの経験はありますよね。楽器の音も同様に私達を癒してくれますが、中でもハープは「最高の癒し楽器」と言われます。

 

古代では病を治す薬としても使われ、現代医学の現場でも治療効果のある楽器として使われています。楽器は聴くだけでも心身と脳への良い効果が期待され、自分で弾くと更に良い効果があります。その理由の一つとして音色が深く関わっています。

 

私達が普段耳にする音はこの自然界に無数にあります。楽器から出る音に限らず、人の話し声、物質同士のぶつかる音、擦れる音、水の流れる音など数えきれない物から音が出ています。音は振動です。物の振動が空気を伝わって鼓膜に届き私達は音として認識しています。

 

「音」の成り立ち=「音の高さ」+「音の大きさ」+「音色」です。綺麗で落ち着く音は気持ちに遮られることなく聴いている事ができますが、それは音には「倍音」という響きが含まれているからです。英語ではハーモニクスやオーバートーンと言います。この倍音が音質や音色を作っているのです。

 

例えば真ん中のラを弾けば440Hzのラの音が鳴りますが、倍のオクターブ上のラ880Hzも鳴っていて、さらにオクターブ上のラ1760Hzも鳴っていて、更に…と続いています。様々な音が共鳴して基本となる音の音色を作っています。倍音は楽器の音、ヒトの声、自然の風や雨と自然界にあるほぼ全
ての音に含まれていますが、倍音が豊かな音色ほど私達の心身と脳に良い影響を与えてくれます。
倍音は数学で整数と非整数の物に分けられます。心地良い音色は整数の倍音が豊かに含まれたクラシック音楽などです。CDや電子ピアノではなく、音色を味わえる生のクラシック音楽が1番です。

 

豊かな倍音は脳波をリラックスした状態にします。瞑想状態に入り、癒し効果があり情緒の安定が得られます。集中力や記憶力も高まり自然と長く聴いていられます。音色は音のエネルギーという感じですね。

 

ハープは楽器の中で一番豊かな倍音が出ます。倍音という、まるでキラキラとしたシャワーを浴びているかのような感覚に全体が包まれ幸せな気持ちになります。体験レッスンや演奏会で初
めて生のハープの音色を聴かれた方は惹きつけられる音色だと口々に仰ってくださったり、時には感動して涙を流す方もおられました。

 

医科学に関わるだけでなく、心身に寄り添うハープの音色は本当に素晴らしく最高の癒しなのです。

 

 

ブレイクニーちえ

兵庫県芦屋市生まれ、大阪市に育つ。2歳からピアノを習い、15歳でハープに転向。相愛大学音楽学部ハープ科卒業。大学卒業後はアメリカ東部に渡り、世界500強企業のITリサーチマネージメントを勤める。ハワイ移住後は、プロの日本人ハープ奏者の先駆者としてレッスン、演奏会、ハープ普及に勤しんでいる。皇室ご一家でも使用された、創業1897年の日本唯一のハープメーカー“青山ハープ”のハワイ社を設立し、指導や演奏活動行っている。またハワイ大学医学部でハープの特別講義も行う。

 

 

(日刊サン 2019.03.30)