日刊サンWEB

過去記事サイト

前回はハープが世界的に最も古い楽器である事から、紀元前まで遡りお話をしました。
ではハープは一体どのような楽器なのでしょうか。ハープは弦楽器でありハープ属に属します。響板に対して弦が垂直に張っているものがハープ属です。

その他ヴァイオリン、ギター、ウクレレ等ほとんどの弦楽器はハープ属以外のツィター属、リュート属に属します。これらは響板に対して弦が水平に張ってある弦楽器です。ジブリ映画『千と千尋〜』で有名になったライアーもハープに似ていますが弦と響板が水平なのでハープ属ではありません。

ハープの始まりは紀元前3000年以上も昔の狩猟時代の弓とされていますが、時代が進んでいく内に響鳴胴が開発されました。ハープの弦から出る振動音が増え、大きく豊かな音色が出るようになりました。

ハープは響板に弦が直接張ってあって指で弾き演奏しますが、弦の振動がこの響鳴胴に響いてハープ独特の美しい音色や倍音を作り出しています。そして柱が施され音程が安定していきます。

ハープの種類は、大きく分けてペダルの有無で分類することができます。歴史的にはペダルの無いハープの方が古く、様々な時代を経て10世紀頃に吟遊詩人が登場しアイルランド周辺からヨーロッパ全域へと広がっていきました。その頃は既に金属、皮、ガットなどの弦が使われるようになっていました。

 

しかし、これらのハープは長年にわたり全音階しか出すことができませんでした。ピアノの鍵盤に置き換えると、白鍵部分しか音が出ないのです。複雑な調の楽曲出現などにより♭や♯の半音が出せないことには演奏が追いつきません。そこでフックをつけて弦の途中を押さえることで弦の長さを変え、半音操作可能なハープが作り出されました。これがレバーハープです。フックハープやアイリッシュハープとも呼ばれています。

 

この半音操作により幅広い演奏が可能となりました。全てのフックが下がった状態を変ホ長調(シ、ミ、ラに♭)として調弦します。曲の途中で臨時記号が出てきた場合は、左手で弦をはじく合間にフックを上げ下げして音を変え演奏します。
たくさん張ったハープ弦がどの音か分かりやすいようにドの弦が赤、ファの弦が黒(又は青)とハープ弦には色が付いているんですよ。

レバーハープの弦数は様々ですが34弦や36弦あると演奏の幅も広がります。楽器のクオリティとしては最低でも50年は丹念に寝かせた天然木材から作った物がより良い音色を響かせると言われています。

次回は、「楽器の女王」グランドハープのお話をします。楽しみにしていて下さいね♪

 

 

ブレイクニーちえ

兵庫県芦屋市生まれ、大阪市に育つ。2歳からピアノを習い、15歳でハープに転向。相愛大学音楽学部ハープ科卒業。大学卒業後はアメリカ東部に渡り、世界500強企業のITリサーチマネージメントを勤める。ハワイ移住後は、プロの日本人ハープ奏者の先駆者としてレッスン、演奏会、ハープ普及に勤しんでいる。皇室ご一家でも使用された、創業1897年の日本唯一のハープメーカー“青山ハープ”のハワイ社を設立し、指導や演奏活動行っている。またハワイ大学医学部でハープの特別講義も行う。

 

 

(日刊サン 2019.03.30)