ハワイの教育コラム|イゲット千恵子の子供をビジネス脳にする
Vol.4 日本のお小遣い制度の落とし穴
前回は、お金の良い使い方について書きましたが、家族でお金について話してみましたか? アメリカの学校へ通っている子供達のほうが、お金について親よりもよく理解していたのではありませんか?
日米で子供へのお小遣いの考え方が異なっており、アメリカでは、1年生になったら、毎月500円のお小遣いといった、何もしなくても「お金がもらえる」習慣はつけません。
アメリカ人家庭の多くは、家庭内での仕事や役割を何かしら子供に与え、その仕事を完了したら、労働したことへの対価としてお金を支払うという習慣をつけて、家庭教育をしています。
子供であっても、家族の一員としての役割を与えることで、やらなかった場合に生じる他者への影響などを教えると同時に、小さい頃からのお手伝い習慣は、「家族の役にたった」、「褒められた」、「上手にできた」などの自信や自己肯定感、また、家族の一員としての喜びも学ぶことができるのです。
途中までしか終わってない、中途半端な仕事しか出来なかった場合は、報酬としてのお金は$1も支払われないか、減給です。逆に賢い子は、自分の出来高に対して、値上げ交渉してくる場合もあるでしょう。
また、チップの制度も、この習慣の延長線上にあります。良いサービスをすれば良いチップがもらえるし、悪いサービスをすればもらえないという、非常にわかりやすいシステムであり、お金が発生するということは、仕事として、きちんとプロフェッショナル意識をもってやるための準備を家庭でしているのです。
特に、南国モードでだらだらしやすいハワイでは、健康で働けるにもかかわらず、低所得者枠で政府から保護してもらえる範囲で暮らそうとする人もいます。また、引きこもり、親にパラサイトする大人など、誰かがなんとかしてくれると、他者に依存しようとする、ぶら下がり思考の人もいます。このようなことは、社会の重荷になっていても気にならない人を育ててしまう可能性があると、気をつけるべき注意点で、南国の怠け者を作りだしているのは、親の生活習慣の遺伝の場合が多いのです。
お行儀や礼儀などの見た目の躾だけではなく、小さな時から、楽しくきっちり働く、また、つまらないと思う仕事の中にも楽しさを見つけて、工夫して早く終わらせることを考えさせてみましょう。社会の一員として働く形は色々あるのだと、親が教えていくことで、頭脳を使いたい子は、「勉強しなさい」などと言われなくても、勝手に勉強するようになっていきます。そのような過程が、子供が未来の仕事を見つけていく上で大事なのです。
著者プロフィール:イゲット千恵子オアフ在住、日米で会社経営&作家。2017年に「経営者を育てるハワイの親、労働者を育てる日本の親」を出版し、日米の教育の違いによるビジネスパーソンの仕上がりの違いを書いた本が話題となる。日米での事業は、グリーンスパハワイ、通販事業、スクール、教育事業、ハワイ教育移住、執筆、講演、セミナーなど、詳しくは、WEBサイト chiekoegged.com |