ハワイには日本語を母国語とする永住者、長期滞在者、旅行者が多く暮らしている。英語での日常会話は不自由しなくても、公共機関からの通知を読んだり、英語の書類を提出するのに難儀することは少なくない。
また高齢化が進み、スマートフォンを始めとするタブレットを日常的に使っていないシニアには情報格差も生じている。
シニア用のアパートに入居したいが応募方法がわからない、収入が少ないのでメディケイドを利用したいが申請の仕方がわからないなど、ハワイ州やホノルル市の高齢者支援サービスの恩恵を活用できていない日系在住者もいる。
そんな英語社会、高齢化社会での不便さを少しでも助けたいと、このほどジャパニーズコミュニティー・サポートセンター・ハワイ(JCSCH)、通称『Jセンターハワイ』という非営利団体(NPO)が設立された。
設立したのはイング・清子さん。イングさんは2004年にカリフォルニアから父の故郷でもあるハワイに転居。不動産仲介の仕事をしながら、シニア・メディケア・パトロールのボランティアとして、メディケアおよびメディケイドを悪用した詐欺の被害からシニアを守る啓発活動をしてきた。
また英語と日本語のバイリンガルならではの情報量を生かし、ハワイシニアライフ協会で「知らなきゃ損!ハワイ生活の知恵」という講演会も続けてきた。
そんな活動の中でイングさんは「ハワイに住む、あるいは滞在する日本人を対象とした、情報と相談の窓口」の必要性を痛感し、Jセンターハワイ設立に向け奔走。ハワイ州の非営利団体と認められ、運営資金が援助されることになった。
2月26日に行われた説明会には、50人以上が出席。 「去年の12月、日本とハワイ州の運転免許証の相互免除が施行されました。日本で有効な免許証を持っていれば、ハワイでの免許証を取得するための筆記試験や実技試験が免除されるんです。免除のために必要な書類は在ホノルル日本国領事館のウェブサイトに出ているのですが、ウェブにアクセスできない人も少なくない。ハワイの免許証が発行されるサテライトシティホールでは、英語で必要書類に書き込みも必要です。またカブキinハワイのチケットもウェブで販売されましたが、インターネットができないとの問い合わせが殺到し、急遽JTBハワイが代行することになりました。でも手数料10ドルかかりましたね」
イングさんはさらに、 「今は固定資産税を支払う時期ですが、ホノルル市には“年収6万ドル以下ならば、自宅の固定資産税を満額支払わなくても良い”特典があるんです。これ、英語の公報はあるんですが、日本語のパンフレットはないから、知らない人が実に多い。Jセンターハワイでは月に1回集まって、生活情報を共有したり、困りごとを相談しあったりします。相談内容によっては、会計士や家の修繕屋さんなど、専門家につなぐ窓口の役割もします」
サポートを受ける側ではなく、自らがサポーターとなるボランティアも募りたいと話す。 「一人暮らしの高齢者に電話をして、日本語で少しおしゃべりをしながら安否を確認する。必要なら家庭訪問をして簡単な家事を助けるなどの支援です。また英語が得意なら、書類を訳すことや申込書の記入を手伝うボランティアも歓迎です。自分が得意なことが誰かの役に立つのは楽しく生きがいのあることですよね!」
イングさんはもちろん、Jセンターハワイの役員も全員無償のボランティアで、本業はナースプラクティショナー、牧師、主婦など多彩。 「当面は毎月第4土曜日の午後1時から集会をして、皆さんの生活情報や困りごとをシェアします。輪になって座り、お茶しながら自由に課題や解決方法を話し合いたいと思います」
仲間を募集中で、老若男女、どなたでもウェルカムだそう。
「将来的には家庭的な居場所を確保したい。会員は相談もできて、掲示板で福祉や勉強会など情報も入手できて、友人との待ち合わせの場所にも使えます。自由にお茶が飲めて、長居ができる場所です。どなたか使っていない家を提供してくださらないかな(笑)!」
明るく元気なイングさん、やる気満々です!! (取材・文 奥山夏実)
Jセンターハワイ (NPO Japanese community Support Center of Hawaii)
【集会】毎月第4土曜日 午後1時〜3時
【場所】Impact HUB内、1階
1050 Queen st. #100
【問合せ】TEL 808-226-2934
Eメール [email protected]
【会費】月5ドル (3月に入会した場合は、5ドル×10ヶ月=50ドル)
(日刊サン 2019.03.06)