先週土曜日から始まった『歌舞伎 in HAWAII 2019』。日曜日には昼夜2回の公演を行い、中村芝翫(しかん)親子3人の大車輪の獅子の舞に、満員の客席は総立ちの拍手喝采で大いに湧いた。
最終日の8日には三男歌之助も加わり、歌舞伎史上初となる父子4人の連獅子が披露される(歌之助君はまだ高校1年生なので、学業を優先して最終日のみの出演)。
本公演の実行委員長で、当代長唄の名手である鳥羽屋三右衛門さんによる、長唄や鳴り物など、“音で観る歌舞伎”の紹介コーナーもある。歌舞伎の和楽器を実際に鳴らしながら、英語を交えて楽しく語り、初めての人や英語圏の人も親しめるよう、歌舞伎アンバサダーをみごとに果たしている。
芝翫さんは本番前のリハーサルで、会場となるケネディーシアターの舞台の感触を確かめながら語った。 「僕も家族もハワイが大好きでよく来ますが、こんな立派な花道があるなんて知らなかった。世界でもハワイだけですよ。客席とも近くて、理想の芝居小屋です。今年を第1回目として、ホノルル歌舞伎をぜひ恒例化していきたいですね」
公演に先立ち3月1日に行われた、在ホノルル日本国領事館主催のレセプションでは、今回の歌舞伎公演の出演者にホノルル市から特別感謝状が贈られた。
壇上で授与された芝翫さん、長唄人間国宝の鳥羽屋里長さん、三右衛門さんは、 「舞台に立つ者だけでなく、大道具やカツラなど裏方を含めた全員に贈られたご褒美と思い、感謝します」 と喜んでいた。 (取材・文 奥山夏実)
(日刊サン 2019.03.06)