不動産(中古物件)を買う際の注意点(1)
今回は、不動産を買う際に気をつけないといけないことを建築士の視点からいくつかご紹介させて頂きます。
建築申請の状況については必ず確認
建築許可の申請をせずに違法な工事をしている物件は、多々見受けられるので十分な注意が必要です。不動産取引の際でも、売主や買主のエージェントでさえ違法であることを知らないケースが多く見受けられるので、買い手側がきちんと調べて確認することが大切です。知らずに購入をすると、その責任は買い手側にうつります。今度売りたいときに知識のある買い手に調べられ、値引き交渉の大きな要因となるだけでなく、許可申請されていない物件にはローンの審査がおりないものも多数あるので、買い手の幅が狭まります。代表的なのは米軍関係者用のローンで、こちらは物件への審査が厳しいです。購入前に建築許可を取得していないことがわかれば、購入後に認可を得るためにかかる費用を算出し、その分の値引き交渉をするということも可能になります。
アスベストや鉛(lead)を含んだペンキがあるか注意
人体への悪影響が懸念され、アスベストは1973年に、鉛を含んだペンキは1978年に、それぞれの使用が違法となりました。築40年を超える物件では、これらが含まれている可能性が非常に高いのですが、だからといって買わない方が良いというわけではありません。アスベストが違法となった経緯としては、施工していた業者の従業員が健康を害したことが発覚し、それに伴ってその使用が禁じられることになったのです。一旦施工され、乾いた状態では人体には影響はありません。ただ、それらを撤去する際には、再度空気中を舞うので必ず専門業者に依頼する必要があります。よく見られるものはポップコーンシーリングですが、壁や床材などに含まれていることも多々あります。購入後、改築や増築等をする予定がある人は、撤去する際に通常よりも少し手間とお金がかかってしまいます。また、そのようなことを知っていれば、売主との交渉にも使えるかもしれませんね。反対に、売主側からの視点で見れば、アスベストを撤去してから売りに出せば少し売りやすく、高値になるかもしれません。
コラム筆者:鵜飼 高生 Takao Ugai
建築士・AIA・LEED AP・博士(建築) Focus Design Studio 代表取締役 明治大学建築学科卒業後、ハワイ大学マノア校で建築の博士号を取得。日米両国での建築設計実務経験がある、経験豊富なハワイ州登録建築士。 Email: [email protected] |
(日刊サン 2018.07.25)