1月31日にハワイ州観光局(HTA)が発表した暫定的な数字(インフレ調整・補足的な事業支出追加前)によると、2018年の訪問者数は、2017年の940万人超から6%近く増え、過去最高の990万人に達した。1日平均で24万2,629人の訪問客がハワイを訪れたことになる。しかし、昨年後半の逆風のため、当初予想の1千万人にわずか4万5,452人足りなかった。それでも、過去7年間成長してきたハワイ観光業界にとっては、記録的な1年であった。
この訪問客数増加の主因は、太平洋横断航空便の座席数が8%以上(1,320万席以上)増加したことである。2018年の名目上(インフレ調整前)の訪問者支出は7%近く増加し178億ドルを超え、20億8千万ドルの税収を州にもたらした。全ての地域(米国西部・東部、日本、カナダ、その他の国際市場)からの訪問者支出は増加した。しかし、日本からの訪問者数は微減した。
予期せぬ出来事が観光業の業績を上下した。まず4月にカウアイ島で大洪水が発生。そして、キラウエアの噴火、ハワイと日本での気象災害、51日間のホテル・スト、不安定な株式市場、政府機関の閉鎖、が続いた。プレザント・ホリデイズ社社長兼CEOのジャック・リチャーズ氏も、2018年の訪問客数は1千万人の大台を突破すると予想していたが、年後半にはその読みを下方修正した。「我社のハワイ事業は、5月まで2桁の成長をしていた。その後、業績は悪化し、通年では前年と同じレベルになった」と語った。オアフ島、マウイ島、カウアイ島の2018年の訪問者支出と訪問客数は増加したが、ハワイ島は、火山噴火と溶岩流出の風評被害の影響で、訪問者数は減少し、訪問者支出は前年比同レベルとなった。
州全体の12月の訪問者数は3%以上増え91万60人となったが、支出は4%近く減少し16億ドルとなった。その弱含みな傾向は2019年に持ち越された。KV&アソーシエイツ・ホスピタリティ・コンサルティング社のキース・ヴィエイラ代表は、この数ヶ月間の予期せぬ出来事の影響で観光客はハワイを避けてしまったが、ハワイの観光業界は現在もその影響を引きづっており、回復には時間がかかる、と語った。
HTAの社長兼CEOクリス・テイタム氏は、「ハワイ島はまだ立ち直っていない。州全体のペースはいくらか心配なレベルである。手綱を緩めたくはないが、この弱含みな状況を反転させることはできない。パニック的な状況ではないが、市場で何が起こっているのかを注意深く認識する必要がある」と述べた。また、HTAは、提携機関のハワイ・ツーリズム・ジャパンおよびハワイ・ビジターズ・コンベンション・ビューローとも協力を強化するとのこと。
リチャーズ氏は、バレンタイン・デー前にサウスウェスト航空がハワイ便の販売を開始すると予想されるので、マーケティング強化が業績向上に役に立つ、と語った。「主要航空会社がハワイ航路を就航させる時は、ハワイ観光にとって追い風となる。今年の第1四半期の業績は下がると予想するが、4月下旬にはおそらく回復し、通年では2018年を上回ると考えている」と同氏は述べた。
(日刊サン 2019.02.02)