日刊サンWEB

過去記事サイト

トレーニングジムの開業

日本では、その特徴的なCMでも知られている某トレーニングジムのハワイ1号店の設計を担当したので、今回はそのお話を少しさせて頂きます。すでに建築許可申請もおり、春にはワイキキショッピングプラザ3階にてオープン予定です。不動産エージェントの方と開業場所選定から携わることが出来たため、とてもスムーズに話が進みました。

 

トレーニングジムが開業できる場所は限られている

実際に探してみてよくわかったのですが、ゾーニングの関係上トレーニングジムを開業できるエリアは非常に限られています。基本的には、ビジネス街でしか認められていません。ゾーニングのカテゴリーでいうと、Resort, B-1,B-2, BMX-3, BMX-4,I – 1 とI – 2 になります。Resortはワイキキ等の観光地の一部を示し、Bはビジネス街、BMXはビジネスとその他様々な用途が認められています。Iは工業地帯になります。具体的に言うと、ワイキキ内ではビジネスビルが建っているような一角でしか認められておらず、あとはビジネス街に該当するアラモアナ界隈、カカアコ、ダウンタウンといったところに限られています。また、トレーニングジムは重量のあるダンベルを床に落としたりして周囲への騒音や振動が懸念され、数多くのビジネスビルで嫌がられてしまいます。

ゾーニングでただでさえ地域が限られてくるにもかかわらず、そこに地主や近隣のテナントの理解も得られるような場所、さらにビジネスモデルとして成立するエリア…となるとかなり難しいという印象を受けました。アラモアナのPan Amビル界隈や、カカアコにトレーニングジムが密集している理由がよくわかりました。会社から直接ジムに向かう場合は当然あるかと思いますが、家から近いところにあっても便利ですよね。今後はカカアコのようにMix-useのゾーニングが増え、多様性があって住みやすい街が増えると良いですね。徒歩圏内でスーパーやジム、レストランに行けるのは便利なだけでなく、とてもサスティナブルであると言え、地球環境だけでなく、コミュニティの健全性も保ちます。

 

コラム筆者:鵜飼 高生 Takao Ugai

建築士・AIA・LEED AP・博士(建築) Focus Design Studio LLC 代表取締役

明治大学建築学科卒業後、ハワイ大学マノア校で建築の博士号を取得。日米両国での建築設計実務経験がある、経験豊富なハワイ州登録建築士。

Email: [email protected]

(日刊サン 2019.02.15)