ハワイの教育コラム|イゲット千恵子の子供をビジネス脳にする
Vol.2 勉強と起業はセットで学ぶ時代へ
ハワイに住んでいると、日米でのビジネスパーソンの違いを感じて驚くことが多いと思います。これは、私たちが育った環境や受けてきた教育が違うのと同時に、教育と育児のゴール設定に大きな違いがあるからだと思うのです。
日本の教育は、昭和の高度成長期から現在に至るまで、指示どおりによく働くサラリーマンになるための労働者教育であり、社畜のように働き、得た賃金は貯金し、住宅ローンを組み、そして消費していくという、完全なる消費者マインドの育成スタイルでした。高度成長期には、マンパワー育成として良い方法でしたが、あれから30年以上も日本人に根深く染みついた消費者習慣として続けてきたばかりに、物の価値を下げ、安く売るために、安い労働力にした結果、経済が衰退してしまいました。
ハワイは、30年前と比べると、賃金、不動産、学費、物価、全てインフレで上昇していますので、経済国としては当たり前の現象です。物価が年々上がっていくハワイで暮らすには、消費者思考からビジネス思考に変えていく必要があります。
アメリカ人は企業に勤めていても、副業で自分のビジネスをしている割合が多いですし、2020年には、アメリカ労働人口の半分以上がフリーランスになると言われています。将来の子供達が働くその時代に、準備しておくべきことは私たちが考えているような就職活動ではありません。
日本の難関大学の学生は、大企業に就職することを目指してきており、卒業後に起業することはまだ稀です。逆に、アメリカの超難関大学の学生の多くは、在学中または卒業後からビジネスをスタートさせていきます。起業は、卒業後の選択肢として就職と同じ位置と捉えています。そのため躊躇なく、新しいものを作り出し、世の中を変えていくことに対して、自分を信じ、情熱を注げる人生を望む人が多いのです。たとえ失敗したとしても、チャレンジをした人の方が高く評価され、企業も起業経験者を雇いたいと思うのです。
この先、ほとんどの人がフリーランスとなり、それぞれ個人経営をしている人たちがチームとなって仕事を進めていく社会がきた時、受け身で値段が決められない、自分に付加価値がつけられない、稼げないでは、なんのために勉強させたのかが問われてくるでしょう。
アメリカの教育のゴールは、18歳での自立です。親も学校も、子供たちが18歳で家を出る時に困らないように、それまでに何を教え、どんな道を自分で選べるようにさせられるか?を考えています。“この子なら大丈夫!”と自信をもって背中を押してあげられるように、アメリカでは、早くからお金の教育をしています。次回は、「子供に教えるお金」の話について書きます。
著者プロフィール:イゲット千恵子オアフ在住、日米で会社経営&作家。2017年に「経営者を育てるハワイの親、労働者を育てる日本の親」を出版し、日米の教育の違いによるビジネスパーソンの仕上がりの違いを書いた本が話題となる。日米での事業は、グリーンスパハワイ、通販事業、スクール、教育事業、ハワイ教育移住、執筆、講演、セミナーなど、詳しくは、WEBサイト chiekoegged.com |