ハワイ最大の酪農メーカー、ビッグ・アイランド酪農社は1月8日、法的和解文書をホノルルの連邦裁判所に提出し、水質汚染訴訟解決のため4月30日までに約3,000エーカーの酪農場を閉鎖することに合意した。 この文書では、同酪農メーカーは2月28日までに搾乳を停止し、4月30日までにすべての操業を停止する。5月までに3000頭全ての家畜を撤去し、6月までに水質汚染の元である堆肥を撤去する。また、裁判所が課す罰金は免れたが、同社を訴えた地域団体と食品安全機関に45万ドルの訴訟費用を支払う。 この閉鎖により、ハワイ産の牛乳の供給は劇的に減少し、酪農拡大計画に終止符が打たれ、ハワイ島のオカカラ地区のこの酪農場下の小さな地域社会の小川や水路から汚染がなくなることになる。 同社を訴えていた地域団体は、この合意を歓迎した。
2012年にアイダホのホワイトサイズ酪農社がアイランド酪農社を1,300万ドルで買収しビッグ・アイランド酪農社を設立した。 同社は、2014年までに、乳牛の数を1,100から2,200に倍増させ、2017年には新たに1千万ドルの搾乳施設を開設し、事業を拡大した。この拡大によりハワイの輸入牛乳量が需要の60%まで減少したと推定されている。 しかし、家畜飼料用の畑の堆肥を作るため牛の糞尿を混入させていたため問題が起こった。 地域団体は、同社が1日に20万ポンドの堆肥を生産し、2つの土の貯水池に保管しており、大雨が降った時には溢れ水路を汚染する危険性があると訴えた。 それを受け州衛生局は調査を行い、家畜の糞尿がカオハオハ峡谷に放出されたと判断し、2017年5月に同社に2万5千ドルの罰金を科した。 また、同団体は連邦裁判所に水質浄化法違反の訴訟を起こした。 同社は5月に230万ガロンの汚染水を、8月のハリケーン・レーンの時に590万ガロンを、12月24日に60万ガロンを放出したとして、衛生局から9万1千ドルの罰金を課せられた。 同社の閉鎖により、ハワイの酪農場はクローバーリーフ酪農社1社のみになる。何十年もの間、ハワイ州は牛乳を100パーセント自給してきたが、1980年代に自給率が減少し始め、ここ数十年でほとんどの酪農場がコスト上昇のため閉鎖された。
(日刊サン 2018.01.19)