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身体によい成分の宝庫 キノコ 健康作用と豆知識

Bynikkansan

9月 27, 2018

???キノコとは???

 

キノコはカビの仲間  キノコは、カビと同様、「菌類」という生物群の中の1つです。菌糸と呼ばれる管状の細胞列によって体外に酵素を分泌し、有機物を分解・吸収することで生長していきます。胞子を作り、繰り返し繁殖します。

 

成長過程  種類によっては、一夜で大きく成長するものもあります。

1)キノコの襞(ひだ)に着いている胞子が飛散。

2)飛散した胞子が木材や落ち葉に付着して発芽。

3)植物(枯れたものも含む)などを基盤(基質)とし、水分や栄養分を吸収して成長。

4)子実体(小さなキノコ)を形成。

5)子実体が成長して、胞子を形成。1)に戻る。

 

▲キノコの生活環 (GNU Free Documentation License)

 

動物の糞や他のキノコから栄養を摂るものも  キノコの多くは植物やその遺骸を基盤として成長しますが、種類によっては動物の糞や死骸、他の種類のキノコを基盤にするものもあります。また、植物の根に菌根という器官を繋げ、栄養を供給されながら成長する種類もあります。

 

▲シイタケの笠の下から散布される煙状の胞子(Creative Commons)

 

日本のキノコ  日本では、既に知られている種類のキノコは約2500種、まだ発見されていない種類のキノコは5000〜7500種類もあると言われています。日本で食用にされているキノコは約300種にのぼり、そのうち10数種類が商業用に栽培されています。

 

食用キノコの歴史と生産量

 

古代から食用とされていた  菌類を食べる「菌類嗜食」は古代からおこなわれてきました。1万3000年前のチリの遺跡からは最古の食用キノコが発見されている他、紀元前数百年前の中国でもキノコを食用としていたことが分かっています。古代の中国人は、キノコを食べるだけでなく、漢方薬としても利用していました。また、古代ローマ、古代ギリシアでも、上流階級の人々を中心にキノコが食べられていました。  現在60カ国以上の国で20種類以上の食用キノコが栽培されています。

 

MEMO

英語では食用になるキノコをmushroom、食用にならないキノコや毒キノコをtoadstoolと言います。

 

 

健康作用と特徴(参考:日本特用林産振興会<http://nittokusin.heteml.jp>)

 

???シイタケ???

 

原木栽培のシイタケ (Creative Commons)

 

 

血液サラサラ効果  

シイタケには血液をサラサラにする有効成分の1つ「グアニル酸」が含まれており、血管の詰まりが原因の心筋梗塞や脳梗塞を予防する効果が期待されます。シイタケの血液サラサラ効果は、キノコ類の中でも特に強く、食べるだけでも効果があると考えられています。

 

骨の形成促進  

キノコを日光に当てると、ビタミンD2の含有量が大幅にUPします。特にシイタケは「エルゴステロール」というビタミンD2の元となる物質や、骨粗鬆症の予防に有効なトレハロースを多く含んでいます。

 

抗酸化作用  

人間の体内に発生する活性酸素やフリーラジカル(不対電子*を持つ原子や分子)は、酸化作用で細胞を老化させたり、がんをはじめとするいろいろな病気の原因となることがあります。活性酸素を除去する成分として、ビタミンC、E、ポリフェノールなどがあります。シイタケなどのきのこ類にも豊富なビタミンCが含まれ、レモンと同じかそれ以上の強い活性酸素の除去作用があるとされています。

*不対電子(ふついでんし)とは、分子や原子の最も外側の軌道にあり、電子対を作っていない電子のこと。共有電子対や非共有電子対に比べ化学的に不安定で反応性が高い。

 

コレステロール値と血圧の降下作用  

シイタケには「エリタデニン」というコレステロール値を下げる成分が含まれています。また、シイタケに含まれる「アデノシン」「4-アミノ酪酸」などの成分には血圧を下げる作用があります。シイタケや、乾燥シイタケの戻し汁(シイタケ茶)には血圧を下げる作用があると考えられています。

 

抗腫瘍作用

 

1)遺伝子の突然変異の抑制  

 

がんは、遺伝子に傷がついて突然変異することから始まります。野菜や果物と並び、キノコにも遺伝子の突然変異を防ぐ作用がありますが、特にシイタケは、他のキノコよりも突然変異を抑制する効果が高いとされています。シイタケの抗がん効果の詳細については「小林製薬の癌免疫研究」https://www.ganmen-kobayashi.jp/ に掲載されている『ガンと研究者となぜかシイタケ』に分かりやすく説明されています。

 

2)抗腫瘍性成分「レンチナン」―食用きのこから抽出された抗がん剤

 

 レンチナンは食用きのこから抽出された抗がん剤で、食物繊維「β-グルカン」の一種です。がん患者による臨床試験などを経て、1985年に臨床薬として厚生省に認可されました。レンチナンは注射薬として使われている一方、シイタケから抽出されたグルカンやレンチナンをマウスに食べさせると、がん細胞が縮小することが分かっています。レンチナンは、きのこの傘が開き始める頃に最も含有量が多くなり、採取した後は減少していきます。5℃の貯蔵で、7日後には約20%少なくなるため、できるだけ新鮮な若いシイタケを摂るとよいでしょう。生シイタケを乾燥させても、レンチナンの量は変わりません。また、シイタケからは、レンチナン以外の抗腫瘍成分も数種類発見されています。

 

抗インフルエンザ作用  シイタケの胞子には、インフルエンザの感染を阻止する「インターフェロン」という成分の生成を促す「リボ核酸」が多く含まれています。

 

???エノキダケ???

 

日本で古くから食用にされているエノキは、晩秋から春にかけ、エノキ、ケヤキ、コナラ、ヤナギなどの広葉樹の枯れ木、切り株などに束になって生えます。寒さに強く、雪が降っていても生えてきます。栽培は「のこくず」によるびん栽培が一般的です。

 

免疫力の活性化・抗腫瘍作用

 

エノキダケには、細胞壁の一部の「β-1-3-Dグルカン」という多糖類やたんぱく質でできている「プロフラミン」「フラムリン」「FIP-fve」という成分が含まれています。これらの成分は、免疫力を司るリンパ球の一種、ナチュラルキラー(NK)細胞などの活性化を促し、ウイルスなどへの抵抗力を高めるはたらきがあります。また、長野県で行われた疫学的調査では、一般の長野県民よりもエノキをよく食べる栽培農家の人々のがんによる死亡率が目に見えて低いことが報告されています。その他、エノキには「フラムトキシン」という強心作用を促す成分や、抗菌作用を促す成分も含まれていると言われています。

 

天然のエノキダケ (GNU Free Documentation License)

 

 

???マイタケ???

 

温帯以北に分布し、9月下旬から10月上旬にかけてブナ科の大木の根元に発生します。幅2〜5cmの黒っぽい傘が重なり合い、直径30cmほどの株になります。

 

抗腫瘍・抗がん作用  マイタケに含まれる「β-1-3-Dグルカン」や「グルコマンナン」「マンノキシグルカン」などの成分には抗腫瘍作用があると言われています。また、強い抗がん作用があると考えられているマイタケの成分「Dフラクション」は「マイタケDフラクション」というサプリメントとして販売されています。その他、血圧降下作用、糖尿病の改善効果なども期待されます。

 

マッシュルーム