11月24日(金)開催!
ハワイ日系移民150周年の今年、ビッグイベントが開催される。今も国民的歌手で、ハワイの日系移民の方々にとっては縁の深い、美空ひばりさんのフィルムコンサートと、ひばりさんの後輩たちによる歌の祭典だ。日本から細川たかし、市川由紀乃、Crystal Kayも来演し、生の歌声を披露してくれる上、フィルムコンサートには、島倉千代子、北島三郎、都はるみ、八代亜紀、五木ひろしなど、昭和歌謡を代表するビッグスターの歌と映像をたっぷり堪能できる。先ごろ行われたキックオフレセプションでは、在ホノルル日本国領事館の伊藤康一総領事も駆けつけ、ひばりさんの息子の妻で、ひばりプロダクションの加藤有香専務取締役があいさつ。このイベントをチャリティーで開催し、ハワイ島の台風被害の復興にも寄付することを発表した。
12歳の美空ひばり、第100歩兵大隊の チャリティーのため、初ハワイ
明治元年の1868年、153人の日本人が移民第1号としてハワイに渡った。当時のハワイはサトウキビ産業が活況で、毎年、大志を抱いた人々が入植した。真面目で働き者の日本人は過酷な労働に耐え、1902年にはサトウキビ労働者の70%が日本人移民で占められるほどになった。移民の多くはハワイの文化や生活と融合しながら定着し、日系アメリカ人としてハワイ社会に貢献し礎を築いていった。
しかし1941年、真珠湾攻撃をきっかけに太平洋戦争が勃発。日系移民たちは第二の故郷のハワイで、日本とアメリカの2つの祖国が戦う惨状の間に挟まれ、多くの人が強制収容された。そんな中、日系移民の2世たちは、アメリカ兵として志願、召集されていった。日系二世兵士を中心に編成されたのが“第100歩兵大隊”で、ハワイ出身の者が多く含まれていた。部隊はヨーロッパの激戦地に投入され、イタリア戦線、フランス戦線でドイツ軍を相手に戦闘を行った。戦後ハワイ出身で日系人初の上下両院議員となった、故ダニエル・イノウエ氏もイタリア戦線で戦い右腕を失った。そんな“第100歩兵大隊”の英雄を讃える記念館を建設する基金を集めるため、12歳の美空ひばりは初めてハワイを訪れた。前年の1949年、映画『悲しき口笛』に主演し、主題歌をヒットさせて“天才少女”と人気急上昇中だったひばりは、オアフ、マウイ、ハワイ、カウアイの各島でステージに立った。少女は幼心に日系人たちの戦争の傷を心に刻み、精一杯歌うことで励まし続けた。滞在は35日間にも及んだ。その後、国民的スターとなってからもハワイ立州10周年行事や、ハワイさくら祭などで公演し、プライベートでも度々ハワイを訪れている。晩年の1987年、3ヶ月半の入院を経て退院した時もオアフ島の別荘で療養し、“不死鳥コンサート”の構想を練った。
細川たかしも生出演の、豪華祭典 ニールブレイズテルセンターでチケット発売中!
「美空ひばり音楽祭」は、日本の外務省や経済産業省も助成金を出して支援。在ホノルル日本国領事館やホノルル日米協会も後援するチャリティーコンサートだ。第一部は、日系人にもおなじみの昭和歌謡のヒットパレード。三橋美智也や村田英雄、島倉千代子、北島三郎、都はるみ、八代亜紀、五木ひろし、氷川きよしなど、ビッグスターの懐かしい映像とともに心ゆくまで演歌を堪能できる。続いて日本から実力派のゲスト、細川たかし、市川由紀乃、Crystal Kayによるライブステージ。ハワイのためなら、ひばりさんのためならと、安価な出演料でチャリティーに賛同してくれた3人のアーティストだ。そして第二部は美空ひばりフィルムコンサート「歌声は国境を越えて2018」。“東京キッド”や“柔”、“悲しい酒”など往年の大ヒット曲、30曲を披露。フィナーレには出演者全員と、スクリーンのひばりさん、観客全員で“川の流れのように”を大合唱する予定だ。日系二世三世、世代を超えて楽しめる音楽祭になることだろう。尚、ハワイ島パレスシアターでも11月26日にフィルムコンサートが開催される。
(日刊サン 2018.09.22)
(取材・文 奥山夏実)