オアフ島に自宅を所有する軍従事者の固定資産税を軽減する法案が市議会で可決されたが、市長が拒否権を行使した。市議会の議長にアーニー・マーティン氏が4月に就任して以来、市長が拒否権を行使するのは4度目となる。 この法案91号を提出したのは、マーティン議長。通常、固定資産税の課税対象となる資産価格のうち居住住宅控除は8万ドルだが、軍従事者にはその1.5倍となる12万ドルを控除するとした法案で、年間の固定資産税が140ドル安くなる。 市長は拒否権の行使に際して、法案の意図や軍従事者の献身には敬意と感謝を示すとしたうえで、市の財政に与える影響が不確かだと述べた。市の予算ディレクター、ネルソン・コヤナギ氏は5月に法案の免税対象となる人が7143人で、法案によって市が損失する額は年間100万ドル程度と明かしていた。しかし市長は「法案の免税対象となる軍従事者の数が不明です」と声明を発表している。 また、免税対象が軍従事者のみで、警察官や消防、救急隊員らが含まれないことが不公平であると加えた。法案には州兵や予備役兵が免税対象となるかどうか明記されていないことにも言及。すでに軍従事者には、1カ月につき2000~4000ドルの非課税の給付金が与えられており、食費や居住費に使用出来ることにも触れた。市長の拒否権を覆すには市議会議員9人中6人の賛成が必要であり、マーティン議長が拒否権を覆す意向があるかは不明。法案は7月11日に6対2で可決されていた。 この法案のために懸命にロビー活動を行っていたのは、ハワイ州兵入隊協会代表のR・マウイ・クイゾン氏。当初は州兵への免税を希望してマーティン議長に話を持ち掛けたという。クイゾン氏の試算では、免税対象者は5000人以下であり、市の財政に影響するのは715,000ドル程度だという。
(日刊サン 2018.08.04)