地元アーティスト潮千穂さんの個展「響 Resonance」が、7月6日からラビッザ・ブラウンフィールド・ギャラリーで開催されている。同ギャラリーは、昨年ホノルルのチャイナタウンにオープンしたばかり。ハワイではあまり見る機会のないヨーロッパのコンテンポラリー・アートが展示されると共に、年に1度、ハワイを拠点に活動するアーティストの企画展を行っている。
潮千穂さんの「響 Resonance」は、その企画展の第2弾となる。潮さんはハワイ・コミュニティー・カレッジ・ヒロ校ハワイアン・ライフ・スタイル学科でハワイ文化とフラを学んだ後、ハワイ大学マノア校アート学科で版画を専攻。作品は、ホノルルを始め、日本、シンガポール、ブリスベンのアート・ギャラリーでも発表されている他、ジャパニーズ・チェンバー・コマースのコミットメント・オブ・エクセレンスの他、多くのアワードを受賞している。 潮さんの作品には、多層レイヤーを重ねたスケールの大きい木版画、ストーン・リトグラフ(石版画)、そしてユニークな素材を使った彫刻的なものが多い。ハワイの自然を観察したものや、フリーダイビングの際に感じた「身体と海の境界が溶けてひとつになったような感覚」にインスパイアされて創られている。また、根底には平和についての考察が詩的で多様なコンテクストで織り込まれている。
潮さんは、現在展示されている作品について次のように語っている。 「これらの作品はストーン・リトグラフのトゥーシュウオッシュというテクニックで作られたものです。1つの作品に1枚の版画が約7レイヤー入っています。1つ1つの石の上に水とインクを使ってイメージを付け、一色刷ったら、次の色、模様を刷るという形で制作されています。イメージをつける時、水の中にインクが沈んでいきますが、そのプロセスでは、部屋の僅かな振動などの目に見えない要素がたくさん集まっています」 個展では「目に見えないもの、見えるもの、この宇宙の全てのものは互いに響き合っている」というホリスティックな宇宙感をテーマに、木版画、ストーン・リトグラフ、彫刻の3シリーズの作品が月替りで展示される。
(日刊サン 2018.07.01)
(取材・文 佐藤友紀)
Ravizza Brownfield Gallery
1109 Nuuanu Ave. Honolulu
808-724-6877