アラビア語でタブーリとかタブレとかいうパセリのサラダをご存知ですか? 私はレバノンに住んでいた人にご馳走になったことがあって大好き。パセリはお飾りなんかじゃなく、おいしい野菜料理の主役であることを証明するすばらしい一品。なんせパセリは、ビタミンCもビタミンAも鉄分も、野菜の中で一番含有量が多いヘルシーベジ。タブーリの作り方もすごく簡単だ。
アラブ料理のタブーリは、パセリが主役のサラダ
材料の主役はなんといってもパセリ。最低1束、いや1人前だとしても2束のパセリを用意して、みじん切りにして欲しい。チョイ役程度に玉ねぎ、トマト、キュウリなどのみじん切りも少々。脇役としては、英語圏でbulgurといわれる挽き割り小麦を、お湯で戻して加える。ハワイでは手に入れやすく、クスクスやキヌアで代用してもいい。で、これらをオリーブオイル、塩、レモン汁で和えるだけ。レバノンに住んでいた友人は、驚くほど大胆にオリーブオイルを投入していた。先日、友人にタブーリが好きだ、ひよこ豆のフムス(正式なアラブ語はヒミスと言う?)も大好きだと話すと、ワイアラエ通りの“Shaloha”という店に連れて行ってくれた。小さなカウンターでイートインもできるけど、お客の多くはto go。メニューは数種類のピタパンサンドとプレート。ピタパンサンドだと、タブーリやフムス、キャベツの酢漬けなど大量の野菜と、肉や卵をピタパンの中にパンパンに詰め込んだサンドイッチにしてくれるのだが、友人はプレートの方が落ち着いて味わえると薦める。 「丼物ってご飯がタレを吸ってふやけたりするよね。だから急いでかっ込むじゃない。ピタパンもベチョっとなるとおいしくないのよ。ピタパンをちぎりながらのんびりマイペースで、好きなおかずと一口ずつに食べた方が最後までおいしいんだ」なるほど。
シャロハのプレートの盛り、重いほどに大盛り!
おかずはパセリサラダのタブーリ、紫キャベツと普通のキャベツの酢漬け2種、それにフムス。ひよこ豆のコロッケの、ファラフェルを追加することもできる。3種類のドレッシング付だ。で、店員さんは、3つに仕切られたto go用の四角い容器に、おかずを思いっきり入れる。とにかく入るだけ、盛り込む。蓋ができんの?と心配になるほど、あふれんばかりに盛る。満杯、大盛り!ビニールの手提げに入れて持つと、ずしりと重いほどの量だ。1人前なんてウソ、2人前以上ある。
ピタパンとフムス、ハワイで一番の太鼓判
いただきまーす、まずは大好きなタブーリ。あ、パセリ&挽き割り小麦ペアと、キュウリ玉ねぎトマト組とセパレートになっている。そうか、混ぜちゃうとキュウリやトマトの水分が出るので分けてあるのね。混ぜ混ぜ、おいしー!次はピタパンをちぎって、フムスをつけて一口。なにこのフムス、絹のようになめらか、ホイップクリームのように軽やか。おいしー!そしてピタパン、アラブ語でホブス、なんという香ばしさ、もちもちの食感。ショートニングや乳製品、卵などを使わずに焼き上げるシンプルな、世界のパンの元祖的な風格、おいしー!爾来アラブの平和を祈りつつ、週一のペースでシャロハ詣でをしております。
(日刊サン 2018.06.22)
奥山 夏実 おくやまなつみ ライター 『クロワッサン』の特約記者を25年続け、2017年ハワイに移住。近著に『ココナッツオイルバイブル1、2』、『HAWAII住むように暮らす』(ホノルルの博文堂でも発売中)など。 |