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クジラの救出活動にドローンを導入

Bynikkansan

6月 13, 2018

マウイ島沖で海洋がれきに絡まったクジラを助けるため、アメリカ海洋大気庁(NOAA)のハワイ諸島ザトウクジラ国立海洋保護区はカリフォルニアの非営利団体オーシャンズ・アンマンドと提携。クジラの救出活動にドローン技術を導入した。

 

オーシャンズ・アンマンドを創設したのは、前NOAA保護区管理者のマット・ピケット氏。同団体は30日に救出計画の詳細を動画で公開した。救出が必要なクジラをドローンで空撮することで、状況の把握が容易になるという。

 

NOAAで大型クジラ救出コーディネーターを務めるエド・ライマン氏は、巨体で泳ぎ回るクジラから絡まったごみを切り取るのは大変困難で危険が伴う作業だと語る。さらにクジラの100ヤード以内に近づくことができるのは、NOAAに認可された人のみ。同氏は公開された動画の中で「ドローンによって救出活動を評価し、必要な物、アプローチやがれき除去のタイミング等を明らかにします。ドローンは非常に効率的で活用に適したツールです」と述べた。

 

ピケット氏はこれまでの救出活動では、位置の特定時、除去作業時、作業完了後の残留物有無の確認時の三度ほどクジラに接近する必要があったとし、このうち最初と最後の行程を高性能のカメラを装着したドローンで実行できると語る。「人間にとってもクジラにとっても大変安全になります」と加えた。 オーシャンズ・アンマンドが機材を提供し管理や監視を請け負う「フリーFLYプログラム」では、マウイのボランティアに、地上よりも難しいボート上からのドローン運転技術をトレーニングする。3人のボランティア運転者が認可を得たばかりで、次の実施は秋に予定されている。

 

毎年クジラを含む多くの海洋生物が漁具に絡まっている。海洋がれきは動物達を傷付け餓死、狭窄による死、溺死に至る場合もある。ライマン氏によるとNOAAが30年以上の間で救出したザトウクジラは合計1300頭に及ぶという。

 

(日刊サン 2018.06.09)