ハワイ王朝時代、リリウオカラニ女王のワイキキビーチサイド・コテージが建っていた、由緒ある地にそびえるアロヒラニ・リゾート・ワイキキ・ビーチ。旧パシフィックビーチホテルを1億1,500万ドルかけて全面改修し、5月8日にグランドオープンセレモニーを開催し、800人以上が参列した。
ハワイ諸島は何千年も前から、固有種の植物や動物がたくさん生息する森に守られてきた。ハワイアンと土地にも古代より綿々と受け継がれてきた深い絆があった。人々は木を尊敬を持って厳選し、必要な分だけ伐採し、家や家具を作った。木製品には木の精霊が宿っていると大切にされた。高く屹立するコアの木はカヌーやサーフボードに、サンダルウッドは香料となり、ミロはくり抜いてボウルや楽器になった。
しかしハワイ固有種が多く生息する森林は、何百年もかけて破壊されていった。森はさとうきびやパイナップルのプランテーションに姿を変え、長い年月をかけて大きくなったコアからは、高価な家具が続々と作られて欧米へ輸出されていった。気がつくと、ハワイ固有種の植物は絶滅の危機にさらされていた。コア、ミロ、サンダルウッドなど 10万本のハワイ固有種を植樹アロヒラニでは、グランドオープンを迎えるにあたり、ハワイアンのレガシーの保存活動に貢献すべく、オアフ島とハワイ島に10万本のハワイ固有種を植樹することを宣言した。コア、ミロ、サンダルウッドなどの固有種の復活を目的に植林活動をしているNPO“ハワイアン・レガシー・リフォレステーション・イニシアティブHRLI”と提携し、ハワイ島、およびオアフ島ノースショアのガンストック牧場内、500エーカーの土地に植林活動を開始する。この森林再生活動は、アロヒラニに宿泊するゲストも参加する仕組みになっている。宿泊料のうち$5がHRLIへの寄付を経由して植樹に充てられるのだ。また結婚の記念や、家族・親しい人への贈り物として、あるいは亡くなった方を偲んで、名入り植樹に参加することもできる。植えられた木それぞれには高周波IDチップが埋め込まれ、生涯を通じて木の成長を楽しみ、見守ることができるのだ。木を植えに行くツアーも企画する予定。
グランドオープンセレモニーではHRLIのメンバーも参加してブレッシングをした。またアロヒラニを運営するハイゲート社のプリンシパル、ヴァン・アヴェディシアン氏夫妻らによるna’u(ハワイアン固有のガーデニア)の木の植樹も行われた。 アロヒラニはハワイ語で、天空の輝き 新レストランMomosanもオープンアロヒラニは街とビーチが出会う最高のロケーションに位置し、アロハシックなリゾートホテルとして生まれ変わった。客室数は839、海を見下ろすプールデッキや28万ガロンもの水をたたえるオーシャナリウム、サンセットヨガやテニスレッスン、バッティングケージなどアクティブに過ごせる施設を豊富に備えている。また料理の鉄人で知られる森本正治シェフのレストラン「モリモト・アジア・ワイキキ」に加え、アロヒラニ内で2軒目のレストラン「Momosanモモサン」もビーチのすぐそばにオープン。ラーメンや焼き鳥をカジュアルに食べられ、屋外ビアガーデンも併設している。ワイキキで最も賑やかな一角が、さらにおいしいスポットとして人気を集めそうだ。
(日刊サン 2018.05.16)
(取材・文 奥山夏実)