資料写真: @Saeko Nakano
ホノルル市議会では、オアフ島で小規模の低層アパートメントを建設する場合にオーナーや開発業者に求めるゾーニングや建設規制を緩和する2つの法案の最終投票を行う。
カーク・コールドウェル市長もゾーニング委員会委員長のキンバリー・パイン氏も、低層でエレベーターのない賃貸アパートメントこそがオアフの低価格住宅不足を解消する重要な役割を果たすと考え、低層アパートメント建築へインセンティブを与える方針を支持している。ホノルルでは1950~70年代にかけて、マッカリー、モイリイリ、マキキなどのエリアで低層アパートメントが多く建てられた。しかし現在では複数の開発業者から、低層アパートメントを増設するには採算が取れるよう経済的なインセンティブが不可欠だとゾーニング委員会に陳情が寄せられている。以前アウトリガーの経営に携わっていたメル・カネシゲ氏は、インセンティブを実装した場合に1万5,000戸の低価格賃貸住宅が増加すると計画許可局が見込んでいることに触れ「2025年までに6万5,000~8万5,000戸の住宅不足が予想される状況を解消する大きな1歩となるかもしれません」と話す。
違法モンスター・ハウスの増加の抑制もまたパイン氏は低層アパートメントが増設されることで、住宅ゾーンに巨大な家を建築し内部を違法にアパートメント様に分けて使用する「モンスター・ハウス」の増加を抑制できると考えている。市長は4月初旬に行った市政方針演説の中で、アパートメントゾーンに2万スクエア・フィート以下の小規模な集合住宅の増加を望み、インセンティブを提供したいと表明。提案された法案により、建物の総面積に対し許可される建築密度が現在の0.9倍から最大4倍までとなり、駐車場の設置義務数が免除され駐車場の数を自由に決められる。また、必要なセットバック・エリアの面積も減少されより大きな建物を建てることが出来る。建築基準法にも改正法案が提出されており、最大60フィートの高さまでの4~5階建ての建物にエレベーターを設置しなければいけない規制の免除を検討している。現行法では3階建て以上の建物には設置が必須。また、1つの建物に2つ以上の入口を設置するよう義務付けられているが、入口1つ非常口1つの設置への緩和も検討されている。市議会に提出された法案18-77号は、アパートメントゾーンに適用される建築基準法を緩和し、同ゾーンで低価格住宅を建築する業者にインセンティブを提供する。法案18-78号では、ビジネスと複合目的ゾーンに低層で複数の世帯が居住可能なアパートメントを所有し、中間年収以下の世帯にユニットを提供するオーナーにインセンティブを提供する5年間の試験プロジェクトが定められている。
建物の入口を減少させる提案に対しては障がい者保護の法律が問題になると懸念する声や、中間年収以下の年収の居住者にユニットが提供されているかどうか監視する具体的な方法が含まれていないと批判する声も上がっている。元開発業者のマーシャル・ハング氏は、この40年間低層アパートメントの建設が停滞しているのは採算性が低いからであり、インセンティブにより建設が増えると話す。駐車場やエレベーターが無くても問題にならないという。低層アパートメントは保険料を理由に車を所有しない層を惹きつけ、若い世帯は4~5階まで階段を使うことを苦にしないし、低層階をシニア層に提供できると述べた。
(日刊サン 2018.05.05)