もっとハグしよう♡
アメリカに住んでいると、毎日だれかとハグしたり握手したりほっぺにキスしたり。人と人が「身体と身体」でふれあう機会がとても多い。友人や家族と会ってもハグしてほっぺにキス。そのたびに、愛を感じる。わたしと夫アダムは1年のうちで数十回空港を利用するけれど、アメリカの空港では見送る人と見送られる人がキスしてハグして。いたるところで身体と身体のふれあいがみられる。
久しぶりに日本に帰国するとまったく雰囲気がちがうので、なぜか少し緊張することさえある。病院でもおなじで、お見舞いにいったらみんなハグ。それが新しい生命誕生であっても悲しい結末であってもハグして喜びや悲しみをお互いに表現。態度に出して自分の感情を相手につたえる。ふれあうことで喜びも辛いことも分かち合い、愛を送り合う。
家族間のハグもそう。NYにいる夫の家族や親戚とは会う度にハグしてほっぺにキスして。でも、日本の家族とは一度もそんなことしたことがなかった。いつもハグをしている夫のファミリーの方が、日本に住んでいる実の親戚たちよりも正直、距離感がずっと近いと感じていた。ハグを通してふれあうパワーはとてつもなく大きい。アメリカ人の夫と国際結婚をしてはや15年が経つけれど、アメリカで生活をしていたら素直にじぶんを表現して普通にいつもハグしているのに、日本に帰るとそれができない時期があった。
日本からアメリカに帰国する際、夫のアダムはわたしの両親や祖母にぎゅーーーっとハグをする。わたしは、何年もそれを横で見ているだけだった。わたしだってみんなとハグがしたかったけれど、なんといっても今まで生きてきて家族とハグなんてしたことない。今さらアメリカナイズされたようで家族にハグするという行為がわたしのなかでどうしてもできなかった。しかし、アダムの家族が亡くなった日を境に、人生は一期一会だということを深く認識するようになる。その出来事がきっかけとなり、わたしは変わった。あるアメリカへ帰る日の朝、アダムがわたしの父にハグをしていて、なんとなく勢いでわたしも父にハグしてみた。自分の分厚い殻を思い切って破った瞬間だった。なんだ、すごく簡単だった。(笑)それ以来、アメリカに帰る別れの日には普通にハグができるようになった。
94歳になる祖母は「アダムちゃーん!」といって、自分からハグしにいく。アメリカ人の夫が家族に加わったことで、わたしたち一家は「ハグ」という行為を通してよりいっそう精神的なキョリが近づいたように思う。ハグは人と人とのキョリを縮めるとっても素敵な行為。そして愛を受け取り届けることができるハグは最高だ!人生で、もっともっとハグしよう〜!
(日刊サン 2018.04.25)
大森 千寿
香川県生まれ。一人っ子。8才の時に韓国ホームステイを経験。12才の夏休みはオレゴン州にホームステイ。16才でオレゴン州のハイスクールに1年間留学。2003年自分探しで訪れたNYで運命の人と出逢い国際結婚。2010年ハワイにホテルコンドミニアムを購入したことがきっかけとなり、ハワイで過ごす時間が増える。現在はアーティストで夫のアダムウェストンのマネージメントをしながらハワイ、NY、日本を拠点に活動中。 www.chizuomori.com