テネシーを本拠地とするホテルのリサーチを行う企業STR社によると、昨年ハワイで売却されたホテルの1部屋当たりの平均価格は53万6481ドルとなり、全米で最も高く、アメリカ国内平均の24万ドルの2倍以上の価格であることが分かった。KV&アソシエイツ、ホスピタリティ・コンサルティング社の代表キース・ヴィエラ氏は「ハワイの市場には大変高い信頼が寄せられています。旅行者の満足度が高く、ハワイを発着する航空座席数とともに需要も大幅に増加しています。投資家達は旅行者と収益が得られることを予想しているのでしょう」と話す。2017年度に最も高額で売買された10のホテルには、ハワイのホテルが4件含まれている。最も高額でリストのトップとなったのは、8月に売却された839室のパシフィック・ビーチ・ホテル・ワイキキで、その額は5億1500万ドル。コマーズ・リアル・インベストメント社が購入し、アロヒラニ・リゾート・ワイキキ・ビーチに改築が進められている。ヴィエラ氏は「アロヒラニは多くのオーシャンビューの客室を提供する大規模ホテルです。改築前もロケーションに恵まれていましたがメンテナンスが不十分でした。今回の改造で中級クラスから高級ホテルへと転換され、オーナーも恩恵を得られるでしょう。
アロヒラニの新しいオーナーは、改造費用に1億1500万ドルを投じました。エクステリアを含む建物全体の改築に加え、プールデッキやフィットネスセンター、シェフのマサハル・モリモト氏が参画する店舗を含め5件のレストランを新設します」と述べた。当分続く、ホテル売買バブル景気ホテルのオーナーは購入した物件や売却したい物件の改造に投資することが多く、建築関連やその他の雇用を増加させる。一方ホテルのオーナーが変わることで、既存の従業員は給与や規則が変わることへ不安を抱きがちだ。ホテル従業員の労働組合ザ・インターナショナル・ロングショア・アンド・ウェアハウス・ユニオン(ILWU)は、新たにアロヒラニと2022年まで締結を結んだ。同組合はオーナーの変更により失われた雇用があったかどうかは明かさないとしている。ローカル5のアナリストであるイヴァン・ホウ氏は、物件に投資して転売するというビジネスモデルが確立しているハワイ市場は、未公開株式投資家に大変魅力的だと語る。
同組合はWTCオアフ・プロパティ社がオフィスビルを買い取り、1億ドルをかけて改築したハイアット・セントリック・ワイキキ・ビーチの今後の展開に注目しているという。韓国の報道によると、ある投資家団体が230室のハイアット・セントリックを購入するため2億ドルを準備しているという。この金額を1部屋当たりに換算すれば86万9500ドルに上る。売却される可能性を知った同ホテルの従業員の70%以上がローカル5に加入する意思を固めたという。450室を有するオアフ島のタートル・ベイ・リゾートは昨年10月に3億3000万ドルで購入され、全米で4番目に高いホテル売却額となった。昨年3月に売却された759室のウェスティン・マウイは3億1700万ドルで、売却額5位に。8月に売却された341室のマウナ・ラニ・ベイ・ホテル&バンガローが2億2500万ドルで8位となった。311室のコートヤード・カウアイ・アット・ココナッツ・ビーチは6150万ドルで売却されランキングには入っていないが、ハワイの2017年のホテルの総取引額14億ドルの到達に貢献している。ハワイのホテルの活発な売買は今年も続くと予想され、2018年になってから既に総取引額は4億3760万ドルとなっている。
STR社の広報担当ニック・ミナード氏は「ホテル客室占有率と客室価格の点で、ハワイは常に全米でトップの結果を残しています。絶対的に高い水準で結果を残しながらも全米平均を大きく上回る成長の余地を残しており、これこそがこの州でホテル売買が活発である理由でしょう」と語る。今年1月には623室のヒルトン・ガーデン・イン・ワイキキ・ビーチが2億1200万ドルで売却された。同月に71室のホテル・リニューが2560万ドル、3月には645室のアストン・ホテル・ワイキキ・ビーチが2億ドルで売却されている。ミナード氏によると、アンダーズ・マウイ・アット・ワイレアとグランド・ワイレアの2件のホテルの売買が進められているという。ハワイ観光局観光リサーチディレクターのジェニファー・チャン氏は「ワイレアのリゾート帯はハワイで最も収益率の高いエリアです。販売可能客室1室あたりの売上(RevPAR)において、この10年間常に他のリゾートエリアをリードしています」と語った。
(日刊サン 2018.04.21)