州上院議会が29日、末期患者の致死性薬物処置の要望を認める法案を可決。ハワイ州は全米で医師のほう助による尊厳死を認める6番目の州となった。
数十年にも及んで議論が続けられてきた尊厳死法案だが、上院議会は法案2739号を23対2で可決。下院議会では3月に39対12で可決されていた。デービッド・イゲ知事は法案支持派でサインする意思を表明しており、来年1月1日から施行となる見込み。この法案は、余命6カ月以下と宣告された精神の正常性が認められた成人に対し、医師への致死性薬物の処方の要求と薬物の自己管理を認める。患者は最低20日間を空けて2度口頭で要望を伝え、書面でも処方の要望を表明する必要がある。また2人の医師から病状と予後、精神状態の診断を受け、要望が自発的であることを認められなければならない。
処方の前に患者は精神科医、心理学者、臨床社会福祉士によるカウンセリングを受ける必要もある。法案では患者の処方依頼の偽装や強制があった場合には刑事罰を求めるとされた。議会ではすい臓がんを患ったブリーン・ハリモト上院議員が自身の体験を語り法案への反対を強く訴えた。「信仰心と祈りで治療の辛さを乗り越えることができました。自らの経験を通して最後まで決してあきらめてはいけないと痛感しています」と同議員は述べ、1週間前にも肺にがんが見つかったが化学療法を延期し、反対票を投じられたことを神に感謝していると語った。一方、ドナ・メルカード・キム議員は、16年前安全対策が欠けていた尊厳死法案に反対していたが大きな改善を遂げたと話す。「完璧な法案ではありませんが今まさに苦しんでいる人がいます。人には選択する権利があるべきです」と声を震わせながら述べ法案の支持を主張した。
(日刊サン 2018.04.07)