大賞受賞の子ども4人を囲み、伊藤総領事夫妻と、JALハワイ支店長の荘司氏
【日刊サンコミュニティニュース】
ハワイの子ども達の間で恒例となっている“世界こどもハイクコンテスト”の大賞表彰式が3月1日、在ホノルル日本国総領事館で行われた。
みごと大賞を受賞したのは、Zachary TN Clissold君、Christophe I. Kashimoto君、Alyssa Kimuraさん、Duke M. Mijo君の4人。偶然ながらイオラニスクールの8年生で、俳句の担任できめ細やかな指導をしたMs.Yoshimura先生も駆けつけ、喜びを分かち合った。表彰式には伊藤総領事夫妻も出席。伊藤総領事は松尾芭蕉の“古池や蛙飛び込む水の音”の俳句を詠み、「五七五とたいへん短いセンテンスの中に、これほど鮮やかな映像や音を際立たせることのできる俳句は、日本の文化の誇りです。それを世界のこども達がよく理解して、こんなに素晴らしい作品を作ってくれたことは喜ばしく、心から表彰します」と、子ども達を讃えた。JALハワイ支店長の荘司敏博氏から表彰状や記念品が贈られた。
15際以下の世界の子ども達、 今回のお題は「Living Things」
審査を担当した、ナカハラエミコ先生、ラックマンマサミ先生は、長くハワイ大学で日本語を教えてきた。 「ハワイ大学でも私たち2人で2002年から詩歌コンテストをしていました。俳句でも短歌でも川柳でも詩でもいい、好きな形式の日本語の詩歌を発表するコンテストでした。私たちが退官し、今、詩歌を教える先生が足りなくて中断していますが、是非また復活して欲しいですね」 「いつもは5歳とか小学生など、年齢の低い子どもも受賞するんですが、今回はヨシムラ先生の指導が良かったんですかね。着眼点の素晴らしい作品で、ハイレベルでした」
JAL財団は1990年以来、日本及び世界の子ども達(15歳以下)を対象とした『世界こどもハイクコンテスト』を設け、2年に一度開催してきた。これまでに52もの国と地域から65万を超える作品が寄せられてきた。 ハワイは15回のコンテスト全てにエントリー。今年は241作品が寄せられた。俳句は本来言葉だけで表現するが、子ども達に豊かな感性を育んで欲しいという財団の願いから、俳句を詠んだ時の目の前の光景や、記憶にある情景を子ども達自らの手で絵として書きとめて応募してもらっている。絵に描いてもらうことで、異なる国や地域の人々に、より理解してもらえることにもなる。
たとえばZachary君の俳句は、「Branches on a tree Still grow though the seasons change Determination」。落ち葉が舞う、冬の季節を彷彿させる樹木が描かれている。日本語にすると、「替わりゆく季節の中で、幹は成長すると誓ってる」という感じだろうか。幹の絵の上には「Survival」、「生き残る」。審査員は、「落ち葉が枯れ落ちる視点ではなく、それでも樹木はたくましく成長していくという点を見抜いた着眼点が素晴らしい」と褒めていた。
世界から集まったコンテストの優秀作品は毎回『地球歳時記』という本として出版される。今年も11月には『地球歳時記 第15卷 いきもののうた』を出版予定だ。
(取材・文 奥山夏実)
(取材・文 奥山夏実)
(日刊サン 2018.03.14)