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日刊サン読者の方から、なぜハワイの住宅は気密性が低いのかと質問を頂いたので、この場をかりて私の考えを紹介させて頂きたいと思います。

 

昔はSingle Wall Constructionが 大半を占めていた

1970年代までのハワイの住宅はSingle Wall Constructionという構法を使ったものが大半だったので、今主流である2×4構法とは大きく異なります。これは日本でいう在来軸組工法に近いもので、柱で二階や屋根を支え、構造壁がありません。壁で自重を支えていないため、1インチに満たない薄い板一枚が柱と柱の間に張ってあるだけです。外との間に一枚の板しかないため、少しでも歪んでいるとすぐに隙間風が入ってきてしまいます。1970年以前の建物となると、地盤が緩んできたりと建物全体が歪んでいることがとても多いので、まずはその歪みを直してあげる必要があります。このような場合でも、家を建替えなくても直すことは可能ですので、もしご自宅が傾いているかもしれないという方は一度建築士にご相談されてみてはいかがでしょうか。

 

そもそも気密性は必要なのか

このような構法を採用してきた背景には、ハワイの気候が関係しています。そもそも気密性というものを重要視していなかったのではないかと私は思います。ハワイはとても気候が良く、年中暖かいです。風さえ吹いていて、日陰に入ればとても快適に過ごすことができます。つまり、木の下で十分快適なのです。そもそもなぜ気密性を上げたいのかということを考えると、外との温度差を保つためです。外は寒いけど中は暖かく、外は暑いけど中は涼しくと、冷房・暖房器具で人工的に室内の温度を調整して初めて気密性が生きてきます。ところが、八ワイにおいてはそのような必要がなかったので、あまり重要視されなかったのではないかと思います。ただ最近では、きちんとした施工業者に依頼をすれば、日本の建物のような気密性の高い建物を建てることは十分可能です。気をつけなければならないのは、気密性があまりに高いとシックハウス症候群になりやすいということです。きちんと換気をする習慣をつけるか、24時間自動で換気のできるシステムを設置することをお勧めします。

 

(日刊サン 2018.02.21)

 

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鵜飼 高生 Takao Ugai 建築士・AIA・LEED AP・博士(建築)・家庭塾長 Focus Labo LLC 代表取締役

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明治大学建築学科卒業後、ハワイ大学マノア校で建築の博士号を取得。日米両国での建築設計実務経験がある、経験豊富なハワイ州登録建築士。