カウアイ島で1月31日に実施されたレイセオン社SM-3ブロック2Aミサイルの試験は失敗に終わり、中距離弾道ミサイルを迎撃する事ができなかった。このミサイルは北朝鮮やイランの脅威への防衛策として、海軍の戦艦や日本、ルーマニア、ポーランドへの派遣が予定されている。
アメリカミサイル防衛局によると、この開発途中のミサイルの試験の費用は3600万ドルだという。中距離弾道ミサイルには約4000万ドルがかかり、太平洋ミサイル試験施設や様々なレーダーやセンサー、試験に動員された約350人を含む試験にかかった総費用はおよそ1億3000万ドルに上った。
「この試験は開発的で運用的なテストであり、生産前のミサイルの新要素や汎用性を視野に実施しました」と、ミサイル防衛局局長のサム・グリーブス氏は試験後に述べた。同氏によると、遠隔で迎撃ミサイル発射の信号を送るセンサーに初めて使用する装置が含まれており、カウアイ島のイージス・アショア・ミサイル試験施設でSM-3 2Aミサイルの発射試験を行うのも初めてだったという。準備段階は問題なく発射も成功したが、迎撃には失敗。審査委員会が原因を特定する予定。
北朝鮮の脅威を警戒
ミサイル防衛局が2019年度に求めている予算は99億ドル。同局が2002年に得た弾道ミサイル防衛システム開発予算は約1兆23億ドル。アメリカ当局は北朝鮮の脅威に対し、アラスカとカリフォルニアにある44の地上迎撃設備がハワイと本土を守ると繰り返し主張している。イージス艦に搭載される弾道ミサイル防衛システムは複数の種類のミサイルを使用するが、45回中36回の迎撃に成功したという。
SM-3 2Aは6月にもカウアイ島で標的の攻撃に失敗している。パール・ハーバーの戦艦ジョン・ポール・ジョーンズが射撃中に誤って飛行中のミサイルを自爆させるボタンを押し、1億3000万ドルを無駄にする事態となった。
(日刊サン 2018.02.24)