低価格住宅も他のハワイの不動産と同様、価格は上昇し驚くほどサイズが小さくなっていく。幅20フィート奥行き15フィートの部屋を想像して欲しい。およそ300スクエア・フィートのこの部屋がホノルルで最近建てられた平均的なスタジオタイプで、もっと小さいサイズも建設中だ。時にはマイクロ・ユニットとも呼ばれるこの様な住宅は地域の低~中年収層が目にする流行の最先端であり、生活の変化を強いられる懸念が高まっている。
小さなサイズのユニットは、市や州の規則の下で全ユニット中特定の比率を低価格住宅として確保しなければならない開発業者によって生み出されてきた。これらの規則は開発業者がベッドルームやバスルームの数が少ないユニットで要件を達成しようとするのを防ぐ目的で設けられたが、ユニット全体の面積については言及していない。そのため400スクエア・フィートの1ベッドルームは同サイズのスタジオタイプよりも大きなユニットとして扱われる。
市の現行の規則でも低価格住宅のベッドルームの数については、市場価格のユニットと同等かそれ以上にするよう定められている。しかしケエアウモク・ストリートに建設予定のプロスパック・タワーによってこの規則の是非が試されている。プロスパックの開発業者は248~467スクエア・フィートの78戸を低価格賃貸住宅として提供しようとしているが、市場価格ユニットはすべてこれらよりも広い。タワー内の市場価格ユニットの半分は2ベッドルームの間取りで残り37%が1ベッドルーム。9%にあたる32戸がスタジオタイプで、16戸は3ベッドルーム。対照的に低価格賃貸ユニットはスタジオタイプ72戸で、同じ面積の1ベッドルームが6戸とされている。
1〜2人世帯中心、家族が多い世帯は不利
州のハワイアン人問題事務局CEOカマナオポノ・クラベ氏は先月、市議会に「より意義深い低価格住宅の提供のためにはプロスパックのユニットに広さと妥当な賃貸価格が必要だ」という内容の声明を提出している。同氏によると300スクエア・フィートのスタジオタイプの低価格住宅の賃料が、全米で最も住宅価格の高いニューヨークの平均価格に迫っており、プロスパックの1スクエア・フィート当たりの賃料は4.82ドルで、ニューヨーク平均は4.98ドルだという。
開発業者のプロスパック・ホールディングス・グループは、州の計画許可局(DPP)が渇望している市鉄の駅付近の低価格住宅を、より多く提供できると主張している。同社はDPPが求めているのが15%なのに対し78戸の低価格ユニットはタワーの全429戸のうち18%にあたると話す。しかしDPPの規則では、2ベッドルームと1.5のバスルームを持つユニットを完全な1ユニットとして評価している。つまり100の低価格ユニットという要件を満たすには、スタジオタイプなら132戸、3ベッドルームと2バスルームのタイプなら72戸が必要となる。DPPの計算では1スタジオは0.86ユニットとして数えられるため、プロスパックの低価格ユニットは全体の16%に留まる。居住スペースをスクエア・フィート単位で換算すればプロスパックは全体の8%しか低価格住宅に充てていない。
DPPはプロスパックの許可申請に対し、開発業者の計画ではベッドルームの基準に達しておらず市の低価格住宅規則は修正が必要だと報告書に記している。文書には「低価格住宅の恩恵を受けるのが1人世帯か2人世帯に限られており、より世帯人数の多い家族が考慮されていません。DPPは低価格住宅により高い基準を設けることが必要だと認識しています」と述べられていた。
ハワイ・アップルシード・センターのビクター・ジェミニアーニ氏は低価格住宅要件を、ベッドルーム数ではなく全住宅の延べ面積に占める割合で定めるべきだと話す。でなければ150スクエア・フィートのユニットで要件を満たそうとする業者が現れると加えた。
市の規則だけではなく、州の規則に従って生まれた極小低価格住宅もある。昨年完成した中層賃貸住宅ケアウホウ・レーンのスタジオは298~350スクエア・フィート。1ベッドルームタイプが451スクエア・フィート、2ベッドルームタイプが632~745スクエア・フィート。一方1996年に完成したカカアコのコンドミニアム1133ワイマヌは、1~2ベッドルームが534~751スクエア・フィートの広さ。新しいタワー、ワードビレッジのアアリイの低価格スタジオタイプは277スクエア・フィートで、同タワー内の市場価格スタジオタイプのほとんどは350~375スクエア・フィート。カカアコの開発を管理する州機関ハワイ地域開発協会(HCDA)もDPPと同様の規則を設けており、アアリイの開発業者ハワード・ヒューズ社に与えた承認には、ワードビレッジエリアの市場価格ユニットと同様の低価格住宅の提供が求められていた。
プロスパックの開発計画は先月市議会の委員会を通過したが、まだ最終決議が残されている。
画像引用:inhabitat.com/nyc
(日刊サン 2018.02.27)