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11月になると、ボジョレー・ヌーボーの解禁日についてワイン愛好家たちが騒ぎ出します。実は、フランス以上に、日本で一番盛り上がる傾向があり、ここハワイやアメリカでは、さほど話題にされません。そもそも、ボジョレー・ヌーボーとは一体どんなワインなのでしょうか? あまりよく知らないという方に、ボジョレー・ヌーボーについてお教えしましょう。
ボジョレー・ヌーボーとは?
ボジョレーワイン(Vignoble du Beaujolais)とは、フランスワインの1つ。フランスのブルゴーニュ地方南部に隣接する丘陵地帯、ボジョレーで生産されるヌーボー(試飲新酒)仕様の赤ワインのことを言います。
試飲酒だけに、通常のワインより早く試飲できなければ意味がないので、ブドウを収穫したら速やかに醸造してボトルへ詰め、収穫したその年の11月に出荷を済ませます。
そもそもはその年のぶどうの出来栄えをチェックすることを目的としたもので、ワインの業者が主な顧客対象だったのですが、ボジョレー・ヌーボーが大変ポピュラーになり、この解禁日がイベント化して、一般の消費者向けにも販売されるようになり広まっていきました。
ボジョレーとはどんなところでしょうか?
ボジョレーとは、フランスのパリの東南に位置するブルゴーニュ地方の南部で、美食の町リヨンから北に広がるなだらかな丘陵地帯です。ボジョレーはボージュ(美しい高台)という言葉に由来しています。標高が高い割に、気候は温暖で日当たりも良いのでワイン造りに適している場所です。
産地は主に花崗岩質、石灰粘土層の土壌で、黒ぶどう「ガメイ種」との相性が非常によい土地です。この土地では白ワインやロゼワインも製造していますが、ほとんどがガメイ種から造られる赤ワインです。
どんな手法でワインが造られている?
ボジョレー・ヌーボーに関しては、造り方が他の地区とは異なり、『マセラシオン・カルボニック法』を用いています。通常、発酵させる前にぶどうを破砕するのですが、ヌーボーの場合は、収穫した「ぶどうの房」を、そのままタンクにいれて発酵します。
ぶどうの重さで、ぶどうが自然に潰れることによって果汁が流れ出て、自然に発酵が始まり、タンクの中に炭酸ガスが充満するのです。 そしてこの炭酸ガスが、酸素をブロックするので、酸化リスクが低減します。そうすると酸化防腐剤を使う必要がなくなりますし、炭酸ガスが発生するとブドウの細胞が破壊されるので、果皮に含まれる色素が溶けだし、短い期間で果汁に色がつくのです。
この方法を用いることによって、とてもフレッシュでタンニンの少ないフルーティーな香りのワインに仕上がるという訳なのです。