オバマファミリー。右から3人目が武井明子さん。
半世紀近い歴史のあるOdori-ko(踊子)が、カピオラニ通りに移転して2年。創業者夫妻から息子のヒロさん、娘のリエさん兄妹に経営を譲り、新世代の和食ダイニングとして、英語圏のローカルにも圧倒的な支持を受けている。
移店2周年スペシャルメニューが登場したと聞き、久しぶりに創業者、武井伸光氏の妻、明子さんと会って話した。
やっぱりOdori-koだねと、 いつも、いつまでも喜んでもらいたい
明子さんは元キャビンアテンダント。今もランチ時には店に出ていて、さすがスッチー出身らしく、控えめながら心くばりの効いたサービスをしている。
「特別な創作料理とかじゃなくて、ごくふつうの、ローカルの人が好きなハワイの和食なんですよ」
ランチに大人気という、和定食のごはんセットの献立を見て驚いてしまった。お刺身、揚げたて天ぷら、牛肉の照り焼きと、メインディッシュが3品もついている。それが$15.50という安さ。
「働き盛りのビジネスマンはペロリと完食しますよ。リーズナブルだと週に何度も来てくださいます。シニアの方も時間をかけて、おしゃべりしながら召し上がっていかれます」
店内は清潔だし、日本茶はたっぷり飲めるし居心地がいい。ソファベンチの席があり、ゆったり座れるので赤ちゃんや子ども連れでも寛いで食べることができる。美食に特化しているわけではないけれど、いつも笑顔で満足、お腹いっぱいになれる店だ。
オバマファミリーが来て、 デザートまでお替りするほど堪能
実は6月、オバマ元大統領ファミリーがOdori-koに来た直後、私は東京にいて、ハワイの明子さんと電話で話した。
「オバマさんの妹さんがハワイに住んでいて、うちの店が良いと言ってくださったようです。予約があった時は本当に驚きました。特別なことはできないけど、Odori-koらしい心尽しの料理を食べていただこうということになって」
武井ファミリーの長男、トシさんも加わり、家族ぐるみでおもてなしをした。
「活きの良いオナガが揚がったのでそれを姿造りにしてお出ししたら、オバマさん、この魚は大好物だと喜ばれて。奥さまも娘さんもたくさん召し上がってくださいました」
オバマさんにとって、日本の一流料亭で食べる日本料理より、ハワイの和食の方が食べ慣れた味なのだろう。元大統領としてではなく、ハワイのローカルとして、ものすごくリラックスした様子で過ごしたという。
「デザートに抹茶ムースを出したら、オバマさん一家はMatcha党なんだそうで、実際にバラクさんはお替りして2個召し上がりました」
現在Odori-koでは記念に“ObaMatcha”と可愛らしく改名した、抹茶ムースを食べることができる。最後に記念撮影をしようと誘ってくれたのもオバマさんだったというから、さぞや気に入ってくれたことだろう。
「どんなお客さまでも、喜んでいただけるのが何よりの励みです。味でもいい、値段でもいい、サービスでもいい、やっぱりOdori-koだねと思ってくださったら、店冥利に尽きます」
(日刊サン 2017. 11. 23)
奥山夏実 おくやまなつみ●フリーランスライター 『クロワッサン』の特約記者を25年続け、東京を拠点にハワイは毎年、半年ほど滞在。近著に『ココナッツオイルバイブル1、2』、『HAWAII 住むように暮らす』(ホノルルの博文堂でも発売中)など。 |